SARS3題

 今の最大の話題はなんと言ってもSARS(重症急性呼吸器症候群)であろう。日本では初めは対岸の火事的な見方をする人が多かったが、バカな台湾人医師の行動でにわかに茶の間の緊急話題と化した。毎日新聞の5月26日付け第2社会面に掲載された「日本のスイッチ」では「SARSは日本に上陸するか」の問いに86%が「すると思う」と回答した。日本人の3分の2以上が、間もなく日本にSARS患者が現れる、と考えているのである。全く、21世紀という世紀はまだ3年目だというのにこの先、どんなことが待ち受けているものやら。と、嘆いてみてもどうにもならないことは分かっている。そこで、ここでは難しいことは言わずに、SARSを少し茶化してみようではないか。いろんな資料や新聞、雑誌を“斜め読み”していたら、SARSにまつわる話題が幾つか目に留まったので、それを紹介してこの欄を埋めたい。

 その一。少し大きな話だが、この3月に発足した中国の新指導部でSARSのために変化が起きているという。国家首席に胡錦涛氏が決まったが、江沢民前首席が中央軍事委員会主席に引き続き君臨し、院政を敷いて胡氏に睨みを利かせると見られていた。ところが江氏が衛生省の「病原体が確定出来ないカゼが流行の兆し」の報告を握り潰し、有効な手だてを打たなかったことが次第に判明、江氏への風当たりが強くなって、胡氏の江氏離れが急速に進んでいる、という。SARSが胡主席に“幸い”した訳か。

 その二。日本の大相撲が戦後初めて6月に韓国で公演されるハズだったが、急きょ延期された。延期の表向きの理由はアジアで蔓延するSARSで、日本相撲協会の北の湖理事長は記者会見で「力士の健康が一番」と語っている。でも現地では別の理由が囁かれているそうな。韓国でも景気の落ち込みで経済界に余裕がなくなり、韓国スポンサー探しが大難航。「これでは資金が集まるか不安」と見られていた。「延期発表の時点では韓国では感染者など一人も確認されていなかったヨ」という不自然さを否定出来ないでいる。

 その三。米国クリーブランド大学の先生がフィルター付きのシルクのネクタイを作った。内側に医療用N95マスクと同じものが入っている。同時多発テロで貿易センタービルから口をハンカチで覆って逃げてくる姿がヒントだったのだが、たまたまSARSが発生、にわかに売れ始め今は一日50本がさばけるという。「身に付けていると安心」という気休め効果の方が大きいのかも。 (2003.5.26)
元福島民報社専務取締役
編集局長 星 一男