「金は力なり」が敗れる日

 プロ野球が開幕いらい、まる3カ月過ぎた。平成14年11月から始まったストーブ・リーグ(こんな言い方ももう時代遅れか)で、巨人軍が金にあかせてセ・パ両リーグ球団から大砲(4番打者)ばかり集めて、心ある評論家やファンの眉をひそめさせた。中でも、2年で20数億円を出してのペタジー二獲得作戦では、毎日新聞「余録」子を「プロ野球界は『金はカなり』の神なき市場経済らしい。金力にあかせて独り勝ちして、どうするの?」と嘆かせた。巨人にしてみれば、ヤンキースに行った松井秀喜選手の穴埋めで、必要な作戦ではあったが、金額が選手側の言いなりに近かった。獲得が決まったときの渡辺恒雄オーナー(読売新聞社長)の子供のような嬉し顔が記憶に残った。

 さて、3カ月経ったいま一。ヤ軍の松井は5月中頃からスランプに陥ったが6月半ばから打ち出して、とうとう6月29日の“サブウェイ・シリーズ”と呼ばれるニューヨークメッツとの変則ダブルヘッダーで大暴れ。満塁本塁打を含む7打数6安打6打点、とニューヨークっ子のど肝を抜いた。打率も3割台に乗せた。もう大リーグから目が離せなくなってしまった。

 一方の日本のプロ野球は・・・。パ・リーグは首位攻防がlゲーム差の争いで誠に面白いのだが、いかんせん人気がいま一つなのだ。片や人気抜群のセ・リーグは阪神タイガースが異常なほどの強さを見せ、2位ヤクルトを14.5ゲームも引き離して独走中。「金はカなり」のジャイアンツは、と言えば3位に転落、もうスポーツ紙も大騒ぎしなくなってしまった。

 ・・・で、例のべタジー二は6月末に一軍復帰してホームランを打ったりしたが中日戦では完全なブレーキとなり“いない方がいいくらい”という陰口をたたかれる始末だ。大体、公式戦が始まってから「脚が悪いから、アメリカで治療する」とさっさと渡米してしまうようでは、月給泥棒といわれても仕方あるまい。「とんでもないことだ。チームが苦闘しているときに、早い夏休みをとられては堪らない。2年間ロクに働きもしないで高給だけ貰う気か」と評論家の張本勲さんも大怒りだった。獲得に奔走した渡辺恒堆さん、どう見てるんですか、この体たらくを。それにしても、日本のプロ野球は「金は力なり」の呪縛から少なくとも今年は解き離されそうな年になった。そういう意味でも、タイガースが必ず優勝して関西経済界を中心に5000億円とも1兆円ともいわれる経済波及効果を上げてもらいたいのだ。(2003・6・30)
元福島民報社専務取締役
編集局長 星 一男