住宅建築に関するさまざまな相談


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 国民生活センターの高度専門相談の1つである住宅相談には、住宅建築に関するさまざまな相談が寄せられる。いずれも深刻な問題である場合が多いがその事例について紹介する。
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違法建築の3階建て建売住宅

相談内容
 3年前に在来工法による新築木造3階建て建売住宅を購入した。独特の換気方式といわれているパッキン工法(注)ではないようだが床下換気孔が開いていない。今から開けると家が傾くと言われたが本当にそうなのか。また、換気孔がなくても大丈夫か。家が揺れるので心配である。売主でもある建築業者に苦情を言っても逃げるような態度でなかなか対応しない。どうしたらよいか。 (30歳、女性、会社員)
(注)パッキン工法とは  一般的な工法では、床下換気孔は基礎コンクリートの地上垂直部分に設けられている。パッキン工法では基礎コンクリート部分には換気孔を設けず、基礎コンクリートとその上に設ける土台との間に間隔を空けてパッキンを挟むことにより、パッキン間の隙間によって床下換気が行われるようにしている。

処理概要

(1)処理経過
  センターに来所してもらい、一級建築士の助言を得ながらセンターがアドバイスを行う「住宅専門相談」を受けることになった。
〈センターのアドバイス〉
  住宅専門相談を受けた結果、相談者の説明や図面などから、建物が図面通りに建築されていないなど違法建築の可能性が高いと思われた。 そこで、
<1>建築にかかわる関係書類を揃える。
<2>なるべく専門家に違法な点がないかどうか、集めた関係書類や建物の調査をしてもらい、現状を把握する。この場合、できれば業者費用負担による、相談者、業者双方の合意に基づいた第三者専門家による調査が望ましいので、業者にその旨を提案する。提案が断られた場合には、「業者の対応が悪いために自分の方で調査を行わなければならなくなったので、問題点が発見された場合には、後日調査費用についても請求するがよいか。」との連絡などを入れておく。業者への連絡は、内容証明郵便を利用するのも1つの方法である。
<3>調査の結果、問題点があれば、それを明確にし、業者に対して調査に要した費用および補修などの要求を行う。話し合いの場としてセンターを利用することも可能である―などを助言した。
〈関係書類の調査など〉
  後日、相談者から「相変わらず業者は逃げ回っている」との連絡があり、相談者所有の図面などを基に、相談担当者が目視による外観概要調査を行った。
 【関係書類の調査結果の概要】
 検査済証がなく、建築指導課への問い合わせの結果、工事の完了検査を行っていないことが判明した。
【建物の調査結果の概要】
 <1>基礎部分:床下換気孔がなかった(図面にはあるが実際にはなかった)ので相談者が苦情を言ったところ、突然業者が来て床下換気孔用の穴を開けていったとのこと。穴はコンクリート主筋の鉄筋を切断して開けられていた。また基礎幅が図面と異なり不足していた(2〜3cm不足)。その他コンクリートの品質にも問題があると思われた(加水や養生不良が疑われる)。
 <2>建物部分:小屋裏換気孔がない、断熱材がない(いずれも図面にはあるが実際にはなかった)、駆体接続部分の接続が不十分(締め付けボルトの締め付けがゆるかった)、2階の床がしなる(床構造の強度不足が疑われる)、3階部分建て増し(図面にはなく、階下の支え強度の不足も疑われる)、不自然な家の揺れ(水平ねじれ方向の揺れがあり、建物の構造強度不足が疑われる)など、図面と異なっていたり、強度に問題があると思われる点があった。
  なお、目視による外観概要調査であるため、その他の建物の構造耐力などにかかわる部分および構造強度計算などについての調査は行わなかった。
〈業者との交渉〉
  目視による外観概要調査のみではあるが、その結果と問題点とそれがどの法律に違反するかというリストを作成することにし、相談者の作成作業に助力した。作成したリストを基に、センターがアドバイスを行いながら、相談者自身が業者との交渉に臨んだ。
  交渉は、まず問題点を業者に認めさせ、次にそれに対する解決策について協議する方法で行った。業者は、指摘した問題点のほとんどを認めた。
〈業者の対応〉
  相談者の要求は、違法な部分および契約書添付図面などと異なる部分について、合法となる修理および契約書添付図面などと一致させる修理であり、センターではその工事は建て直しに近い規模になると思われた。
  相談者の要求に対し、当初、業者は問題個所の修理を申し出たが、修理内容が極めて不十分なものであったため、相談者は業者の提案を拒否した。次に業者は、手持ちの物件との交換を提示してきた。この案に対しては、「代替物件の徹底調査と不具合い部分の徹底修理を条件とする」旨の回答を行ったところ、業者から現在の物件の買い取り案が提示された。
(2)処理結果
  相談者自身による業者との交渉の結果、「購入時の価格での買い取り。次の物件が見つかるまでは居住可能」で合意に達した。
問題点
 住宅建築については、「司法、立法、行政」の三権分立になぞらえて「設計、施行、監理」のそれぞれが独立した形で機能することが望ましい、と言われている。しかし、実態はこのような体制で工事が行われることは少なく、本事例も「三権」が独立して機能していなかったことにより生じたトラブルとも考えられる。


マンション分譲業者が倒産して返金されるか心配な手付金

分譲マンションの購入契約をし、10ヶ月後に入居予定となっている。ところが、業者が民事再生手続をすることになったとの新聞記事を見た。現在、工事が中断しているらしい。契約した物件の引き渡しを受けられない場合、すでに支払った160万円の手付金は返金されるのだろうか。 (30歳代 男性 給与生活者)

近年の不況や競争の激化に伴い、分譲マンション業者が破綻する例も増加しつつあります。こういった場合、物件の引き渡しを受けていない消費者にとって、すでに支払った手付金がどのように取り扱われるのかが気になるところだと思います。
 宅地建物取引業法において、宅地建物取引業者は、建物の売買などで自ら売主となるものに関しては、以下の条件に該当する場合、「手付金等保全措置」を講じなければ手付金を受領してはならないと定められています。

*買い主が「登記」を得ていない場合
*未完成物件…手付金の額が代金の5%以上、または1000万円以上の場合
*完成物件 …手付金の額が代金の10%以上、または1000万円以上の場合
 「手付金等保全措置」とは、分譲業者が破綻して物件の引き渡しが受けられない場合に保証会社(銀行、信託会社その他政令で定める金融機関又は国土交通大臣が指定する者)が手付金を消費者に全額返金する仕組みのことです。
 この相談では、「手付金等保全措置」が講じられていたため、仮に物件の引き渡しが受けられなくても、手付金は保証会社から返金されることになります。
 「手付金等保全措置」が講じられておらず、物件の引き渡しもできなかった場合は、分譲業者の倒産が民事再生法による再生手続きなのか、破産法による破産手続きなのかによって、対応が異なります。
 民事再生法の場合、裁判所は倒産した業者の申し立てにより、少額債権に対する弁済を許可できるとされています
(※)。そのため、倒産した業者がどういった対応をするのかについての説明を聞く必要があります。
 一方、破産法の場合、残った資産を全ての債権者に公平に配当するため、債権届出をして配当を待つことになります。
 また、「物件の引き渡しを受けることはできるが、倒産した業者のマンションは不安なので解約したい」等の理由で解約を申し出ると、自己都合による解約となり、手付放棄による解約となる場合がありますので、注意が必要です。
 万が一、契約先の分譲業者が破綻しても、慌てずに情報収集に努め、落ち着いた行動を取ることが肝要だと思います。
(注)民事再生法第85条第5項 …
少額の再生債権を早期に弁済することにより再生手続を円滑に進行することができるときは、裁判所は、再生計画認可の決定が確定する前でも、再生債務者等の申立てにより、その弁済をすることを許可することができる。


窓の造りが契約図面と異なる新築分譲マンション


新築分譲マンションの購入契約をしたが、契約後の内覧会で物件を確認したところ、窓の造りが契約時に説明された設計図と異なっている。それを理由に契約解除を申し出られるか?助言などをして欲しい。 (40歳代 男性 給与生活者)

(1)不動産取引においては、法令に基づく「重要事項説明書」の交付が義務付けられ、この書面の中で「建物の完成時の形状」について記載することになっています。契約の目的を達成できないような誤記があればこの点を問題とすることができます。また、契約にあたってはこの書面のほか、設計図書や販売用のパンフレットも重要な資料であるとされており、これらの記載に誤記があれば販売会社の責任を問うことができます。
 事情を正確に把握するためもあり、相談者・事業者・センターによる三者協議を行ったところ、事業者の販売用パンフレットに記載された図面に誤りがあり、現状が設計通りの建物であること、事業者は販売用パンフレットの記載ミスを認めていることなどが判明しました。しかしこのような場合は当事者間で合意出来れば契約の解除はもちろん可能ですが、実際には解除になることは少ないため、その旨を相談者に説明しました。
(2)事業者は窓部分を改築し相談者の希望通りの形状にすることを提案したため、その提案について引き続き三者協議を行いました。
(3)建築設計図面、構造計算書などを参考に窓部分の改築について検討したところ、改築を行うと使い勝手は向上するものの、窓周辺部分のコンクリートの一部取り壊しを行うことになり、その際コンクリート中の鉄筋も一部切断することになるなど、構造的に懸念される点があることが判明しました。
(4)相談者に改築による使い勝手の向上と構造的に懸念される点などの両方を提示し、相談者自身に最終選択をしてもらうこととしました。
(5)相談者は契約解除の要求を取り下げ、また窓部分の改築についても行わないことを選択しました。
(6)その後の相談者と事業者による当事者間の話し合いの結果、販売価格の5%相当を返金することで合意となりました。

不動産の売買においては、本来は実際に購入予定物件をよく見てから契約をすることが望ましいのですが、建物の完成前に契約をせざるを得ない場合が多いので、契約にあたっては、重要事項説明書や販売用パンフレットをよく読むことが大切です。また、今回のようにパンフレットの内容と実際の物件とが異なるという問題が発生するおそれもあります。気になる部分については、契約前に建築設計図面などを見せてもらいよく確認した方が良いでしょう。


■特商法を理解しようとしないリフォーム業者
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今回は、電話でのクーリング・オフを認めず、施工内容も手順もずさんだったリフォーム工事の事例を紹介する。
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相談内容
 母が電話でリフォーム業者から屋根の無料点検を勧められた。断わったが、あまりにしつこく勧誘され仕方なく、家族の在宅中に来訪するよう条件を付けたうえで無料点検を了承した。
 業者が来訪し、自宅の屋根を撮影したビデオを見せられた。自宅は築30年近く経っているため、屋根瓦にはヒビやズレが多く、また、窓などサッシの工事もしたほうがよいと勧められ、屋根工事・サッシ取り替え工事約470万円の契約をした(クレジットで120回払い)。
 しかし、契約書を記入する段階になって見積書がないことに気がつき、そのことを指摘すると、「建築用語は素人には分かりにくいため、工事契約書で分かりやすくしている」という要領を得ない回答であった。そこで内訳書でも構わないので持ってきてほしいと依頼したところ、「保証書と一緒に持ってくる」とのことであった。
 しかし、その後に家族で再度話し合った結果、断わることに決め、契約から2日後に契約解除の電話をした。ところが、業者はその日の夜になって「解約したいという電話を受けたが、解約の理由を明確にしてほしい」と突然来訪した。家族で改めて話を聞いたが、業者は工事の流れ(材料や腕のいい大工を派遣する等)ばかりを話し始めた。結局、解約するのはやめ再契約することになった。
 だが、数日後に業者が来訪し「クレジットの審査が通らなかったので、別のクレジット会社にしてほしい」といわれてクレジット書面を書き直したが、その際、業者に「工事が完了したことにしてほしい」といわれ、業者の指示どおりに父が記入した。
 また、再度、内訳書がほしいと伝えたが、「保証書と一緒に持ってくる」とのことだった。
 しかし、実際に工事が始まると、施工内容も手順もずさんで、予定どおりに進まず、工事人のミスで部屋の中の物が壊されたりした。工事終了後も内訳書や保証書等の書類を交付してくれない。工事はすでに完了しているが、家族全員、納得できない。(20歳代 女性 給与生活者)

処理概要
 当センターでは、契約から2日後に契約を解除する旨の電話をしているにもかかわらず、業者は突然来訪し、再度勧誘している点がクーリング・オフ回避に該当すると考えられる。
 また、仮に再勧誘行為がクーリング・オフ回避に該当しないとしても、再契約を締結したのであれば、改めて再契約日の日付で書面交付が必要となるが、契約書は2日後の再契約の際に交付しておらず、書面不交付として、クーリング・オフが可能と思われた。工事内容についても書面に詳細な記載はなかった。
 これらの問題点を考慮した結果、当センターは無条件解約が妥当と判断し業者に交渉したが、業者は「特定商取引に関する法律」(以下特商法)を全く理解しておらず、さらに理解しようとする姿勢もなかった。業者は「法律がどうであれ、工事はすでに完了している。ある程度の金額は払ってもらわないと困る」という主張を繰り返すのみであった。
 その後、業者は本件を弁護士に一任したが、当該弁護士も特商法の理解が低く、関係法令や判例も全く知らない状況だったため、交渉は難航した。
 数回にわたり弁護士と交渉したが、やがて業者と同じように、「ある程度の金額は払ってほしい」との主張を繰り返すようになった。
 そこで、当センターからクレジット会社に本件について連絡し、加盟店指導を依頼した。
 その結果、信販会社はクレジット契約をクーリング・オフ扱いとし、既払い金(約30万円)は相談者に返金されることになった。これにより業者から相談者に対し、工事代金の請求が直接行われることになるが、上記のように、業者側の法令違反は明白であり、仮に業者が提訴しても業者側が勝訴できる余地はほとんどないと判断したため、その旨を相談者に伝え、相談を終了とした。
 なお、相談者は施工部分に関して原状回復(施工前の状態に戻すこと)を望んでいなかったため、業者とその旨の交渉は行わなかったが、仮に相談者が希望すれば、業者は無償で原状回復を行う義務を負うことになる(特商法第9条7項)。

問題点
 今回は業者の対応が非常に悪く、信販会社に加盟店指導を依頼したところ、信販会社が相談者のクーリング・オフの申し出を認め、返金の手続きが行われ解決が図られたものである。
 本件では大きく3つの問題点があると思われる。

1. クーリング・オフの方法として、特商法第9条は「書面により(中略)撤回又は(中略)解除を行うことができる」と定めているが、口頭によるクーリング・オフを有効と認める判決が複数出ている。
2. 消費者のクーリング・オフ行使後、業者が解約を阻止するために、消費者に対して不実のことを告げたり、威迫して困惑させる行為等を行うことが多い。本件では、突然来訪し、再勧誘を行っており、場合によっては特商法第6条の「禁止行為」に該当する可能性がある。
3. クーリング・オフにより、当初の契約は解除されており、再契約の締結時点で、業者に改めて書面等の交付義務が発生すると解される。

 業者は関係法令を理解せず営業活動を行っており、また、理解しようとする姿勢も極めて希薄であった。
 「法の不知はこれを許さず」という法諺(ほうげん)があるが、「知らなかった」という言い訳は通用しないのである。企業にとって関係法令の順守は当然の義務であるという認識を持ってほしい。

■気になるマンションの安全性

 築8年を経過した分譲マンション。築3年を過ぎた頃から廊下や畳の下のコンクリートにひび割れが入った。また1階各戸床下壁面にあるピット(配線用の溝)が設計図面と異なる位置にあけられていることなども判明した。
 売主の業者が依頼した調査会社の報告書によると「建物の安全性には問題はない」とあり、「不具合が起きた部分については補修をする。位置が異なっている床下ピットについてもピット位置を修正する」と言われた。業者の言い分を信用しても大丈夫か。基礎から問題があるのではないか。
 調査結果の資料を持参するので建物全体が安全であるかどうか、また、床下ピットの補修方法が正しいかどうかについても判断して欲しい。また今後どのように話を進めていけばよいのかアドバイスが欲しい。 (40歳代、会社員)


(1)建物の安全性の判断については、相談者持参資料(業者から提出された構造計算結果のみ)では不十分であることが分かった。構造計算の妥当性や補修案の問題点について指摘を行った。なお、建物全体の安全性に関する判断は、当センターの相談業務の範ちゅうを超えるものであり、その判断は専門家に詳細な調査を依頼することが必要となる。これには相当の費用が必要となる。(2)床下ピットの補修方法についても相談者持参資料(業者から提出されたコンクリート中の鉄筋探査調査結果および補修方法案)だけでは調査不十分であり、現状が正確に把握出来ていなかった。
(1)(2)より相談者持参の資料を見る限りにおいては調査不足であり、業者の言い分を信用してもよいとは言えない。まずは建物全体についての現状を正確に把握出来る調査を行うことが必要である旨を助言した。また、正確な調査結果が出た段階でどうすべきか検討するようアドバイスした。
(1)事業者の提出する調査報告書、補修案等は必ずしも十分でないことがあるので、必要に応じて専門家に診てもらうこと。
(2)床下ピットについてはピットのある壁の役割にもよるが、構造的に重要な壁であればピットによる強度低下を補強するための補強策がなされているかどうかがポイントである。設計図のチェックと合わせ実際の現場の調査が必要となり、その結果による補修方法などの検討が必要である。
(3)マンションの場合、建物は共有部分と占有部分とに分かれる。今回の相談のような建物の躯体部分については共有部分であるため、業者との交渉に当たってはマンションの管理組合としての対応が必要となる。個人としてではなく、管理組合が交渉に当たることを勧めたい。


■強引に年金生活者を勧誘した高額な屋根工事の点検商法
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「無料」と言って耐震診断をさせ、地震で瓦が落ちると不安をあおり、高額な屋根工事を勧める「点検商法」はいまだに後を絶たない。
 今回は、年金で暮らしている高齢者が高額な屋根工事契約をした事例を紹介する。
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相談概要
 娘の私が1ヵ月ぶりに実家を訪ねたところ、屋根が新しくなっていた。事情を聞くと、突然、業者が来て「今、無料で耐震診断をしている」というので診断を依頼した。その結果「このままでは地震のときに瓦が落下し、近所に多大な被害が及ぶ。工事は割引のできる今しかない」と業者に勧められた。父は年金生活者なのでお金がないと断ったが、月々の支払い額が約2万4000円であることや総額が210万円であることを強調され、やむなく契約してしまったという。
 その夜、信販会社からの確認の電話で、総額約210万円の契約で10年間のローンを組むと、総額が約300万円にもなると聞き、金額の大きさに驚き断ることもできず電話を切ってしまった。翌日、業者に改めて電話で契約額が違うと解約を申し出たが、分割払い手数料分を値引きするので考え直してほしいといわれた。
 また、その日の夜、販売員らが来て「今後10年以上家族全員が金融機関のブラックリストに載る」などといわれ、家族の迷惑になると思い、何も言えなくなってしまったという。工事は2日間ほどで完了した。
 以上が経緯であるが、今までの屋根が早急に工事を必要とするほど傷んでいたとは思えない。販売方法にも問題があるし、年金しか収入のない両親にとっては高額すぎる契約なので解約させたい。(相談者:33歳 女性 家事従事者、当事者:65歳 男性 年金生活者)

処理概要
 相談は契約した当事者の娘からの相談であったため、再度当事者である父親から詳しく聞き取りを行った。
1.当事者からの聞き取りなど
 (1)診断と称して屋根のビデオを見せながら、工事が早急に必要であること、このままでは近所に多大な被害を与えると言い不安をあおった。
 しかし、当事者は屋根診断の撮影過程を確認しておらず、またビデオには屋根の一部しか映っていないので、本当に自宅を撮影したものかどうか不明である。
 (2)高額な見積もりに対して、お金がないと断ったが、月々の支払い額を強調されて契約した。信販会社への支払い総額を知って、解約を申し出たが、手数料を値引きするなどと説得された。
 (3)工事内容には不満はない。
 (4)当該家屋は築28年の木造。瓦は老朽化していたかもしれないが、今まで雨漏りはなかった。
2.当センターの調査
 (1)見積書の瓦(金属瓦)本体の単価は、3万9500円(m2)であったが、瓦メーカーに問い合わせると当該商品の通常販売価格は6400円前後であることが分かった。
 (2)当事者が、過去に補修工事等を頼んだことがある地元の工務店の見積もりと、当センターの試算でも屋根工事代金はおよそ100万円前後であった。
3.交渉過程
 (1)解約の申し出が口頭であったので、改めて当事者が文書で通知した。
 (2)業者から当センターと当事者に対し、「クーリング・オフ回避はしていない。解約の申し出は当事者の一方的な言い分であり、絶対に認められない。しかし、減額交渉に応じる用意はある」という旨の文書が送り付けられてきた。
 (3)同時期に当事者宅には販売員の訪問や無言電話が続き、当事者は恐怖心を抱くほどだった。
 (4)通常は三者(当事者、業者、センター)で話し合うところ業者の態度が非常に高圧的であり、当事者らが怖がっている点を考慮して業者と当センターだけで話し合いを行った。当センターは、交渉に当たりクーリング・オフの成否についても考えたが、契約の翌日、当事者が業者へかけた電話の内容に断ったといえるかどうか曖昧な点があるためクーリング・オフについては、業者に強く主張することができなかった。
 (5)クーリング・オフでなく、業者が解約に応じた場合の消費者の負担について、当センター弁護士の見解は以下のようなものであった。
「このケースでは、実際に受けた利益分を支払うことになる。この利益とは工事を行わなかった場合、建物の残存期間にかかるであろう維持費となる。あるいは工事を行った場合の一般的価格などを元に算出することになる。その際、業者に"もうけさせない"ことが大切であろう」。
 (6)当センターに来訪したのは販売員の上司で、解約は絶対認めないと威圧的で強硬な姿勢ではあったが、減額には応じるとして工事代金150万円を要求してきた。
 しかし、当センターが調査した前記の金額とかけ離れていることから再考を求めたところ、95万円の提示があった。当事者らは工事内容に不満はなく、またこれ以上業者とかかわりたくないとの意向であったため、この案を受け入れることにした。
 (7)信販会社には処理終了後に業者の実態を伝え、加盟店指導を依頼した。

問題点
・強引な勧誘は特商法(特定商取引に関する法律)6条に違反の恐れがある。
・一般に白あり駆除や住宅設備などの点検商法では役務提供後に解約になることが多い。
 このような場合、特商法(10条)においては役務の対価が解約料の上限とされている。また、消費者契約法4条に基づく取り消しになれば、受けた利益分は返還しなければならない。いずれにせよ消費者には金銭的負担が生じ、業者の「やり得」になってしまう面がある。
 相談窓口としては、販売方法等に問題があった場合には業者に「工事を行ってしまえば得」にさせないような解決をしたい。


■何度もやり直した戸建住宅の外壁塗装工事
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自分の家はだれもが美観を損なわずに維持したいものである。今回は訪問販売で外壁の塗装工事をしたが、工事完了1ヵ月後ころから壁面が変色し、交渉の結果、塗装工事のやり直しが行われ、さらにその後3度目の塗装が行われた事例を紹介する。
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相談内容
築7年の戸建住宅の外壁塗装工事をしたが、10年保証であるにもかかわらず、1ヵ月後一部で変色が起こり、色むらが目立つようになった。自主交渉を重ね、工事の1年後に高圧洗浄をしてもらったが効果がなく、その3ヵ月後、再塗装工事を行った。ところが、全体に白色化が起こり、指でこすると白色粉末が露出する塗装不良が発生した。 事業者は、さらに再塗装工事(3度目の塗装)を行いたいと申し出てきたが、相談者は「過日行われた塗装工事(2度目の塗装)の際、当初契約した塗料と異なるものが使われていた」として、完璧な工事をしたうえで、工事費110万円のうち慰謝料として60万円の返済を求めた。しかし、事業者はこれを拒否し、話が進まなくなってしまっている。今後どのように話を進めていったらよいか。 (50代主婦)

処理概要

(1) 処理経過
 相談者に対し、今までの経過を文書でまとめてもらうとともに、事業者から出されている報告書をファクスで送付してもらった。当初契約した塗料は、35年間経過しても変退色や塗装劣化がほとんど発生しないことがうたい文句になっており、カタログにも不燃性、耐候性、高硬度、通気性、美しさが特徴として書かれていた。
 相談者と業者にセンターに来所してもらい、解決に向けての話し合いを行った。

<工事業者の主張>
当初の工事では、住宅の壁面の基材の表面に塗布されていた塗膜と塗料の下地処理剤との親和性が塗装時に良くなかった。塗装時に壁面の右側部分と左側部分にタイムラグがあるとともに、基材表面の性質が同一ではなかった(特に水分含有量に違いがあった)。また、塗装技術者も異なり、使用ローラーも異なった。これらのことから塗装むらを生じてしまった。
 また、2度目の塗装においては、これらの問題点を踏まえ、塗料と塗装方法について実験と実地テストを繰り返したうえで行ったが、実際の工事において、塗料の配合がうまくいかなかったために塗装不良が生じてしまった。今度は、塗料の配合に十分注意し、高い技術者に施工させるので、もう一度塗装工事をさせて欲しい。

<相談者の主張>
 今まで2度施工されたが、どれも約束どおりの履行がされなかった。2度目の塗装に使われた塗料や塗装方法は、当初契約した内容と異なり、業者の研究所の報告書を見ても性能はかなり落ちると思われる。
 特に疎水性が強いためいつまでも外壁が濡れていたり、ほこりや大気中の汚れ(特に油性物質)が付着しやすいことが報告書でも判明しており、この方法で3度目の工事を行っても同じ結果になるのではないかと心配である。従って、
(1) 3度目の塗装工事は当該業者には行わせず、工事前の状態に戻させる(原状復帰)。
(2) 住宅の外観不良や長期の足場の設置による生活の不便に対する慰謝料(解決一時金)として60万円を払ってもらいたい。
(2) 処理結果
 塗料の性能の違いについては容易に判断できないことや、原状に戻すことは技術的にも難しいことが予想されるので、所定の条件を課したうえで、3度目の工事を行う方向で協議を重ねることにした。その結果、おおむね次のような内容で合意に達した。
(1) 当該業者が3度目の塗装工事を行うが、不具合が生じた場合は、外壁材そのものを張り替える。
(2) 受領の工事代金は相談者に返却しない。
(3) 塗装材料や工事の方法、工事行程を明確に記述した資料を提示した上で工事を行う。
(4) 塗膜の剥離や変色について10年間保証を行う。
(5) 塗装完了後、半年目と1年目に両者立ち会いで定期観察を実施する。
(6) 塗面にひび割れを生じた場合、保証範囲内か否かについて、第3者機関に検査を依頼し判断をする。
(7) 工事は業者の幹部が責任者をもって監督し、ベテラン職人が施工する。
(8) 解決一時金として、業者が相談者に工事費の20%を支払う。
問題点
 住宅にとって外壁の塗装の状況は大変重要な要素であり、工事費用も高く、一度工事をすると再度やり直すことは難しいので、消費者は訪問販売で即決するのではなく、複数の業者から見積もりを取るなどして工事方法や工事内容の得失を十分に検討してから契約することが重要である。
 また事業者も、工事内容をあらかじめ消費者によく説明してから工事に着手すべきである。
 塗装工事は、塗料の種類はもとより、工事方法、基材の状況、天候、塗装技術者の技量などにより仕上がり具合が変わってくるので、消費者、工事業者ともに、慎重な対応がもとめられる。このケースの場合、解決までに相当の日数を要しているが、時間の経過とともに塗装状況に変化が生じる恐れもあり、早い時期の相談、解決が必要であろう。


■新築住宅で目や喉に痛み

新築注文住宅の引渡しを受け約1年前に入居したが、目、鼻、喉がヒリヒリと痛く、頭痛もする。夏は特に症状がひどくとても自宅にいることはできず、時々近くの親戚の家に行っている。工務店と交渉を続けてきたが状況が好転しない。 (40歳代 女性 家事従事者)

 最近“シックハウス症候群”と呼ばれるこのような相談が増加しています。(参考:報道発表資料
「危害情報からみた最近のシックハウスについて−きっかけは家の新築・リフォーム、家具の購入、シロアリ駆除など−」平成14年12月6日)
 厚生労働省は、「住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用等により、新築/改築後の住宅やビルにおいて、化学物質による室内空気汚染等により、居住者の様々な体調不良が生じてくる状態が、数多く報告されている。症状が多様で、症状発生の仕組みをはじめ、未解明な部分が多く、また様々な複合要因が考えられることから、シックハウス症候群と呼ばれる」と説明しています。
 症状緩和のためには、専門医の治療を受けながら原因を特定し、これを除去していくことが必要となってきます。相談内容から考えると、新築した住居への入居が原因かとも思われますが、この点も含め専門医の診察を受けることが肝要です。
 症状の緩和を行っても、原因を低減・除去しなければ再発することになりますので、自然換気や機械を利用する機械換気によって、室内の汚染物質を低減させましょう。また、住宅の他にも室内を汚染している原因物質がある場合もあります。新たな家具の購入、防虫処理など、体調不良を感じるようになったきっかけを探してみましょう。
 シックハウス症候群については、合板、パーティクルボード、壁紙、接着剤等の建材から発生するホルムアルデビドが原因の一つとして挙げられています。
 ホルムアルデビドなど14種類の揮発性有機化合物については、後述するとおり厚生労働省から室内濃度についてガイドラインが示されています。例えば「ホルムアルデヒドについては30分平均で1m3あたり100μg(0.08ppm)以下」となっています。
 濃度の測定依頼を受け付けている保健所もありますので、状況を把握するために依頼してみるとよいでしょう。
 ただし、どのような物質の影響を受けるか(頭痛や鼻水の原因となる物質)については、各個人によって異なりますので、やはり専門医の診察を受けることが重要です。
 症状の原因が建材にあることが明らかになった場合には、建築業者と相談の上、費用の負担を含め解決策を協議していくことになります。


 自分がどのような物質から影響を受けやすいかなどについて専門医の助言を得ておき、住宅の建築に当たってその物質が使用されることが見込まれる場合は、建築業者との間で放散量の少ない材料の使用あるいは代替材料の使用などについて、事前に十分な打ち合わせが必要です。なお、前述のとおり、どのような物質の影響を受けるかについては、各個人によって変わってくるわけですが、例えば、喘息の持病などがある方やアレルギー体質の方などは、このことに配慮しておくことが肝要です。
 「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「住宅性能表示制度」において、室内空気中のホルムアルデビド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレンの濃度が住宅性能評価対象となっています。各物質の放散量から建材の等級が評価されていますので、新築・改築時等に利用するのもひとつの方法です。
また、建物の完了直後は建材などから放散される物質の量が多いので、当分の間は入居せず、この間換気に努め、状況を見ながら入居するという方法もあります。
 なお、この評価書の一例は国土交通省のホームページで見ることができますので、参考にしてください。

※厚生労働省の「シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 中間報告書(平成14年2月8日)」でホルムアルデビド、トルエン、キシレン、パラジクロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、クロルピリホス、フタル酸ジ-n-ブチル、テトラデカン、フタル酸ジ-2-エチルヘキシル、ダイアジノン、アセトアルデビド、フェノブカルブ、総揮発性有機化合物量について室内濃度指針値が示されていますので、参考にしてください(詳細は厚生労働省のホームページご参照ください)。

 また、居室内における化学物質の発散に対する衛生上の措置に関する規制を導入するため、建築基準法改正法案が平成14年7月5日に成立して、平成15年7月1日から施行されます。この改正によって、居室を有する建築物には、クロルピリホスを添加した建築材料の使用が禁止され、また、居室の種類及び換気回数等に応じて、内装仕上げに使用するホルムアルデビドを発散する建築材料の面積制限が行われる等の対策がとられます。


基礎に亀裂が入った建売住宅

 建築条件付き宅地を購入し住宅を建てたが、基礎にひび割れが発生した。業者から補修案が提示されたが、提示された補修案で大丈夫だろうか?心配なのでアドバイスして欲しい。(30歳代 女性 給与生活者 )

 関係書類・図面などを確認する必要があるため、それらを持って当センターに来所してもらい、一級建築士を交えて行う住宅専門相談を受けるよう助言しました。
 住宅専門相談において、相談者の話や持参した調査会社の報告書、図面などを基に、地盤、地盤改良方法、基礎コンクリートなど建物の下になっている部分について順次検討を行いました
 センターで調査会社の報告書などを分析し原因について検討したところ、地中に打ち込まれた支持杭の長さ不足、基礎に使われたコンクリートの質に問題がある可能性があると思われました。いずれにしても、さらに専門的な分析などが必要になると思われたため、センターとしては相談者、事業者、センターの三者による協議の場を作り、今後の進め方などについて話し合うことが、解決にとって有効であると相談者に助言しました。
 これを基に、相談者が数ヵ月交渉を続けた後、もう一度センターを交えた協議の場を設けました。この席で、様々な技術的な問題点について資料を基に話し合いを続けた結果、事業者は支持杭の長さ、コンクリートの質などの問題点を認め、相談者の要求を受け入れ、販売価格で土地建物を買い取ることで合意となりました。
  基礎のひび割れは大きな問題です。元々はどのような土地であったか、それにどのような改良を行い、どのような基礎工事を行って建築したかなどを中心に原因を調べ、これに沿った補修策が必要です。
 本件は調査会社による調査報告書が出され、これらを基に交渉が行われ、支持杭の長さ、コンクリートの質などの問題点を認めた業者から解決案が提示されました。しかしながら、原因や補修方法を巡って話し合いを続けても交渉がうまくまとまらず、訴訟の場に移行せざるを得ない場合も少なくありません。


■助成金の申請ができなかった下水道工事
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住宅を建築する際に、地方自治体が定める一定の条件を満たす場合は、工事費用の助成を受けられる場合がある。
そこで、助成制度の存在を知らなかったために、設置したばかりの下水道を撤去し、工事をやり直さざるを得なくなった例を紹介する。
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相談内容
 自宅を新築したいと、土地を購入し、大手ハウスメーカーに住宅の建築を依頼した。土地は未舗装の私道の奥にあり、いずれ舗装工事をしたいと考えていた。
 住宅が完成して入居後に、近所の人から共有の私道の舗装工事には、区の補助金が交付されると聞き、区役所に相談に行った。
 区役所の担当者の説明によると「私道の舗装工事と共用の下水道工事には、区から工事代金の9割以内の助成が受けられる。舗装工事の助成を受ける場合は、区の基準に合わせた下水道工事をする必要がある。助成金の申請は受けるが、新築時に敷設した下水道は、助成対象工事の基準に合わないため、撤去し新たに敷設する必要がある」と言う。
 ハウスメーカーには土地探しから協力してもらっていたが、このことに関してはまったく教えてくれなかった。担当者を通して上司に苦情を言ったが「地域の助成制度まであらかじめ知ることは不可能であり、責任はない」と言われた。
しかし、住宅建設のプロとして、事前に地域の状況を十分に調査し、その結果を素人である消費者に伝えることは、事業者の義務であると思う。事業者がその義務を怠ったために無駄な出費を強いられ、大きな損害を被った。撤去せざるを得なくなった新築時の下水道工事代金を返してほしい。(50歳代 女性)

処理概要
 相談者からの聴取によると、限られた時間のなかで土地を購入し、自宅を新築しなければならない事情があったため、確認申請をはじめとする役所の手続きは請負契約時に委任状を作成し、すべてハウスメーカーに任せていたと言う。
 センターから、当該ハウスメーカーのお客様相談室に相談概要を伝え、対応を求めた。
 数日後、相談室の担当者、契約した支店の責任者、下水道工事を施工した下請け業者がセンターに来訪、次のような説明をして、事業者側には責任はないと主張した。
(1)本件クレームは、住宅完成後に相談者が私道の舗装を思い立ち、近隣住民のアドバイスを受けて区役所に相談した結果、補助金が交付されることを知って、発生したものである。当社は住宅建設会社であり、舗装工事にかかわる事柄まで知り得る立場にはない。
(2)新築に伴う下水道工事を担当したのは東京都の指定業者である。しかし、補助金の対象になる工事を施工できるのは、当該区に届け出た業者に限られる。都の指定業者は、通常、区の工事を請け負うことはない。工事の規模が異なるなどの事情により、それぞれの工事は異業種ともいえるほどの違いがある。
(1)センターの調査
 この助成制度に関し、区民にどのような広報活動を実施しているか、区役所に問い合わせたところ、下記の回答があった。
(1)区内の全所帯に交付する、区政に関する広報冊子「わたしの便利帳」に掲載している。
(2)住宅建築などに伴い区役所の下水道課に問い合わせがあった場合は説明する。
(3)助成制度を説明するパンフレットも作成し、下水道課の窓口で配付している。
 センターで、この冊子及びパンフレットの内容を確認したところ、次の内容が記載されていた。
●家屋の新築に伴う下水道工事をするときは、都指定の工事店に依頼する必要がある。
●私道の共用排水設備には区の助成がある。
●助成金を申請するときには、申請者が都指定工事店の中から数店の見積もりをとり、契約する。
●契約した工事店が申請書類を作成し、区に提出する。
 パンフレットの末尾には、同区内の都指定下水道工事店のリストが掲載され、そのうち、この助成工事を施工する工事店には、注が付されていた。本件の工事店は、ハウスメーカーの下請けで都の指定は受けていたが、区の助成工事の施工店ではなかった。
 上記のように、私道の舗装工事とは無関係に、幅員が1.2m以上の私道に2戸以上が共同して下水道を設置することなど、一定の条件を満たせば、下水道工事費の90%以内の助成が受けられることが分かった。
(2)事業者との交渉
 センターから、このことと、助成が受けられない場合の相談者の負担増は相当な金額になることを指摘し、再検討を求めた。それを受けて同社は、社内で関係者から事情を聞き、区の助成金制度について調査した結果、下請け施工店の不注意であるが、元請けの請負業者としての注意義務の範囲であると認識し、支払い済みの工事代金のうち、下水道工事費に相当する約77万円を返還すると回答した。
問題点
 下水道工事や生け垣助成、3世代同居など、住宅及び住宅周辺設備に対する地方自治体の助成制度にはさまざまなものがある。
 建築会社が施主にこのような助成制度に関する情報を提供しなかったことに対して、法的な責任を求めることは難しい。しかし、この種の情報も建築会社のパンフレット等に記載してあることが望まれる。
 一方、消費者の方もこのような助成制度について自ら行政機関に問い合わせ、助成制度の利用を前提として、工事業者の選定などについて建築会社と話し合いを行うなどの努力が必要と思われる。

■高齢者をターゲットにした浴室改良工事
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浴室の改良工事をはじめ外壁工事・屋根のふき替えなど、訪問販売のリフォーム契約のトラブルの被害者は60歳以上の高齢者に多くみられる。また、氷山の一角と思われるセンターへの相談も当事者である高齢者ではなく、トラブルに気が付いた家族からということも多い。この事例もその典型的なものと言える。
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相談内容
 年金生活の両親が、訪問販売で高額(総額300万円)な浴室リフォームの契約をしてしまった。父親は痴ほうで入院が決まっている状態で、母親はもう解約はできないだろうとあきらめている。クーリング・オフ期間は過ぎてしまったが解約することはできないか。(40歳代 女性)

処理概要
 相談者に、契約当事者である母親から業者と信販会社あてに解約を求めるはがきを至急出すように助言し、本人よりセンターに電話をくれるように伝えた。ところが本人からの連絡がいっこうにない。相談者に尋ねたところ、不本意ながらこのまま契約すると言っているという。「センターが当事者の意思を無視して業者に伝えることはない。解約できるケースかどうかも分からないが、話だけでも聞かせてほしい」と伝えてもらったところ、ようやく当事者本人より電話があった。
当事者に事実確認
 当事者である70歳の母親から契約のいきさつについて聞き取りをしたところ、以下のことが分かった。
●女性から電話があり、浴室のリフォームを勧められた。断ったが、話だけでも聞いてほしいと言うので「契約はしませんよ」と伝えたうえで、来訪を了解した。
●男性の営業員2人が来訪して「モニター第1号として本体価格だけで請け負える。その代わり、工事写真を撮らせて欲しい」と言って勧められた。また、浴室の壁の小さなひびを見つけて「ほっておくと階下に水漏れして、多額な損害賠償を請求される」とも言われた。
●契約をしたものの高額であるため、翌日、電話でクーリング・オフをして「考える余地はないのでよろしく」と伝えた。
●その日の午後、営業員がとんできて、「違約金が必要かもしれない。もう少し減額する」と言って、半日がかりで説得された。ローンの書面は、この日に改めて書いたので解約はできないと思う。
●他の業者に適正価格で依頼しても、違約金分を足すと同額程度になってしまう。工事はまだだがこのまま契約するしかないと考えていた。
●しかし、販売方法に問題がある業者は工事自体も信頼ができないと思ったので、たとえ違約金を取られても解約することにした。
業者交渉
 当事者に、はがきで業者と信販会社あてに解約の意思表示をするように助言をした後、センターから業者へ電話で交渉。
 2度目の訪問時に納得して契約書を書いたと言うが、解約の意思を承知しているにもかかわらず、営業員が強引に訪問し再勧誘したものである。電話ではあるがクーリング・オフの意思表示があった以上、その後了解が得られようと、いったん解約手続きをするべきではないか。
 セールストークや長時間勧誘等の問題はさておき、クーリング・オフの回避は重大である。契約日より1ヵ月を経過しているが、無条件で解約してほしいと伝えた。

処理概要
 この結果は無条件解約となったが、当該業者については高齢者をターゲットとする傾向やクーリング・オフ回避の事例がいくつか見られたため、センターへの来訪と改善を求めた。
 業者は「高齢者への勧誘やクーリング・オフ回避について指導しているが、契約者から相談室に解約通知が届き、キャンセルの指示を出す間に営業員が再勧誘してしまうケースがあり困っている。末端の営業員までいきたわるようにさらに徹底する」との回答をし、営業員には訪問販売法厳守の緊急通達、センターには改善書を提出した。

問題点
 高齢者は情報の不足から不利な契約を結びがちだが、それだけでなく、トラブルにあってもあきらめてしまうことが非常に多い。高齢者契約の相談は家族から寄せられるケースが少なくない。この事例も、たまたま尋ねた相談者が契約を知ってセンターに相談してきたものである。自宅を知られていることが不安であったり、安易に契約した自分が悪いのに家族に心配をかけたくないという思いが強い。「あきらめていたが解約できて本当によかった」という今回の当事者も、しばらくの間、センターへの相談を迷っていた。
 解約するか否かは、当事者の意思によるのが当然であるが、その心の奥を聞き取るの事が、高齢者のトラブルの場合は特に必要ではないかと思われる。


■広告の表示に誤りがあった建築条件付きの土地
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買い物をする際、広告は一番手軽に入手できる情報源といえよう。今回は新聞の折り込み広告に誤りがあったケースを紹介する。
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相談内容

 新築住宅販売の新聞折り込み広告を見て、業者から3060万円の建築条件付きの土地を購入して、約1230万円の住宅を建築する契約をした。広告には、設備について「都市ガス」と書かれていた。しかし重要事項説明の際、業者から設備について「書面上では『プロパン』となっているが、これは名目上のことで都市ガスが入る。都市ガスの負担金は60万円だが世帯数が多いので引き込みが多くなれば一軒当りの負担金が安くなる」と説明された。
 住宅建築の打ち合わせの際、業者にガスの確認をしたら「都市ガスは入らない。プロパンで差し支えないでしょう」と言われた。業者の方から先に都市ガスが入らない説明とおわびがあれば許せるが、逆に都市ガスが入るとは言っていないと前言を翻された。解約して手付金の100万円を返金してほしい。  (30歳代 男性 給与生活者)


処理概要
(1)処理経過
 センターは相談者から関連書類のコピーを入手し、内容を確認した。広告上、設備は「都市ガス」になっていたが、重要事項説明書には「プロパン」と記載されていた。手付は、土地と建物にそれぞれ50万円入金済みであった。
不動産公正取引協議会の見解
 宅地建物取引業法32条「誇大広告等の禁止」については、「不当表示、誇大広告」といえると思うが、重要事項の説明の際どのように説明したか、訂正の説明があったかなどによる。またガスが全く利用できないのではなく、ガスは利用できるので、都市ガスが引けないだけでは解除理由にならないだろう。
自治体の宅建業の所管課
 センターが宅建業の所管課に概況を説明したところ、当事者が資料を持って直接相談に来るようにとのことであった。
 相談の結果、担当者より次のような説明を受けた。
 当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主は手付金を放棄し、売主はその倍額を償還して契約を解除することができる。履行に着手した後は、相手方の契約違反または契約不履行の場合に契約を解除できるが、その場合、重要事項説明書の「損害賠償の予定及び違約金」は612万円とあるので、相談者から解除を申し出た場合、業者から損害賠償請求をされるだろう。現段階では業者の出方が分からないので、まず当事者間で話し合ってほしい。
センターの法律相談
 1)「都市ガス可」と説明されていたのに不可であったのは、売主の債務不履行といえるかどうか微妙であり、契約解除事由に該当するかどうかの判断は難しい。
 2)手付放棄による解約が許される場合であれば、手付金100万円は戻らない。
 3)今の段階で、業者が「履行に着手した」といえるかどうかの判断は、現地調査等を行わないと資料等からだけでは難しい。
 4)手付放棄も、債務不履行による契約解除も認められないとすれば、買主には履行の義務があるため、土地については移転登記と引き換えに代金全額の支払い義務が生じる。また建物建築については、売主(請負人)の損害を賠償して契約を解除することになる。
(2)処理結果
 センターはまず相談者が解約・返金希望を業者に申し出て、その返事によってはセンターがあっせんする旨を相談者に話したところ、後日次のような報告があった。
 契約の破棄を電話で申し出たが、業者から解約は受け付けるが手付金の100万円は返さないと言われた。その後、所管課が業者に連絡した。業者は広告の誤りを認め、90万円を返金することになった。
問題点
1)折り込み広告は「都市ガス」、重要事項説明書は「プロパン」と、ガスの種類が異なっていた。重要事項説明書に誤りはなかったとすれば、争点はどのような説明を行ったかということになり、「言った」「言わない」の水掛け論になってしまい交渉は難しい。
 消費者にとって広告は契約するかどうかを決める重要な資料である。広告内容は事実通りの正確な内容でなければならない。
2)「宅地建物取引業法」では誇大広告を禁止している。また「不当景品類及び不当表示防止法」や「不動産の表示に関する公正競争規約」でも広告については規制されている。
 問題は、業法の違反がただちに民事上の解約事由にならない点である。
3)広告の記載は、「新築住宅販売予定物件価格・区割り」「近日販売予定物件」「4LDK」「全一四棟」など一見新築建売住宅の広告のようだったが、実際は建築条件付き宅地販売であった。
 建築条件付きの土地の売買には、停止条件(一定期間内に建物の請負契約が成立しなかった場合、土地売買契約は白紙になる)を表示することとされている(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則第3条)。
 このケースでも契約上は、土地売買契約成立後3ヶ月以内に建築請負住宅を締結するとされていたが、実際には土地の契約と同時に建築契約が締結されていた。建築設計の検討等に必要な期間として一定期間が設けられており、同時に契約させることは消費者を不利な立場に置く取引といえよう。
4)重要事項説明の際、書面の「プロパンガス」は名目上のもので都市ガスが入ると説明したことについて、もしここが都市ガスが引けない場合などであれば、今後は消費者契約法の不実告知の問題として検討することも考えられる。
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■詳しい
国民生活センター・消費者からの相談事例
http://www.kokusen.go.jp/jirei/index.html