平成15年8月22日

新江戸時代をめざした
新エネルギー・ハイブリッド利用

 


 

日本大学工学部機械工学科
熱機関研究室
助教授 渡部弘一




これからのエネルギー消費のあり方とは?

1.緒言
 昨年6月に環境省から、平成15年版環境白書および平成14年版循環型社会白書が提出された。白書には人類の歴史と廃棄物の関係を探り、西欧の中世都市に比べ、江戸の生活はものを大切にしたリサイクル方針が徹底されていて、現代でも見習うべき点があると分析されている。
 また、「大量生産・大量消費・大量廃棄」から「最適生産・最適消費・最少廃棄」の循環型社会を構築するために、政府、自治体、企業、消費者が一丸となって努力を重ね、責任を持つことを提唱している。エネルギー資源が乏しい日本は幸い江戸時代に全人民が取り組んでいたさまざまな自発的政策を教訓とすることができる。鎖国政策の中にあっても江戸時代が200年間平和に生活できたことは、それだけで十分説明がつく。
 いま、江戸時代を回顧するのは、現代が窮屈になって身動きがとれない時代になってきているからである。それは第一に高齢化社会と希薄な人間関係、第二に供給過剰の無駄と環境アンバランス、第三に過剰労働と賛沢社会の反省に立って誰もが感じている共通点である。
 これからのエネルギー消費のあり方については、過剰なエネルギー利用ではなく、少しだけ余裕を持ったエネルギーの有効利用の中に、自然エネルギーの導入等を考えていかなければならない。そして人類は何よりも、地球環境を侵すこと無く、自然環境とのバランスをとり、他の生態との共生を考えた、エネルギー消費生活を営まなければならない。

1一1人類とエネルギーの関わり

 表1−1は文明とエネルギーの関わり合いを示したもので、現代人は化石エネルギー時代を生きていることを示している。

  古代  産業革命   現代   未来
文明  農耕文明  工業文明 後期工業文明  新しい文明
主なエネルギー
人力
畜力
木材(薪、炭)
小水力(水車)
石炭
木材(薪炭)
小水力(車)
化石燃科
原子力
水力
化石燃料
原子力
太陽
バイオマス
水力
風力
表l一lエネルギーと文明


400年足らずで使い果たす勢い

図l−3は人類とエネルギーの関わりを示したもので、エネルギー消費量が急増したのは、産業革命の後、電気や自動車の実用化を迎えてからであることがわかる。
 図1−4は現在のエネルギー消費量から、化石エネルギーが使える時代の長さを西暦期間で示したものである。現代社会のエネルギー消費活動は、数億年かけて地球に蓄えられた貴重なエネルギー源を400年足らずで使い果たす勢いである。


日本人のエネルギー消費量は、標準の50倍?

 図1−5は恒温動物の生存に必要となる標準代謝量と体重の関係をグラフにしたものである。図のように、標準代謝量と体重の関係は両対数で表すと、標準代謝量は体重は直線的な関係となることがわかる。
人類の体重を60kgとすると、約80Wの標準代謝量となるが、現代人は世界平均で、食料に約130W、それ以外に約1800Wの一時エネルギーを消費している。2000Wの標準代謝量で考えると、同程度の標準代謝量を有する動物の体重は4トンということになる。現代日本人のエネルギー消費量は、1998年で一人当たり約5000Wであり、標準の50倍のエネルギーを消費している。
江戸時代の暖房に使った年間一人当たり木炭は、石油換算で約28リットルであったが、現在は約150リットルである。大きな違いは木炭は再生可能エネルギーであるが、石油は再生不可能である点である。


図1-5ほ乳類の標準代謝量と体重の関係(出典:平成7年度版環境白書)

l‐2エネルギーと地球環境
(1)化石燃料と環境
図1−6(省略)は地球温暖化と温室効果ガス濃度の相関を示したものである。
(a)には、年間の平均気温(スパイク状曲線)と、5年間の移動平均(滑らかな曲線)の両方をプロットしてある。
(b)と(c)はそれぞれ、大気中の二酸化炭素とメタンの量を示している。
(d)は、化石燃料の燃焼と、土地利用の変化のために放出された炭素の量を1年間ごとに示した。土地利用のデータは、歴史資料から得たものである。炭酸ガスやメタン、フロン、酸化窒素といったガスは蓄熱ガスと呼ばれ、赤外線を吸収する作用がある。メタンガスの蓄熱量は炭酸ガスの20倍と言われている。
(2)化石燃料消費と酸性雨
化石燃料の燃焼による発生ガスは、空気中の窒素と反応し、窒素酸化物を大気に放出し、酸性雨の源となる。広大な森林の立ち枯れ、湖沼の酸性化による生物の死滅などを引き起こしている。
(3)原子力発電所と環境原子力発電は膨大なエネルギーを発生させることができるが、これに変わるエネルギーが見つからない現状であるが、核兵器や原子力発電所などで使用されるウランの半減期は2〜7億年と言われている核燃料廃棄物の処理のあり方、安全管理など、地球環境保全の問題が解決されていない。


江戸時代、太陽エネルギーが源となる薪炭?

1−2江戸時代の生活
(1)人口:西暦1837年、当時の江戸の人口は128万4815人。ロンドンをしのぐ世界一の過密都市であった。当時、ヨーロッパ最大の都市であったロンドンが人口80万人であった、またパリは50万人であったから、江戸は世界第一の都市であったといえる。
(2)エネルギー源:太陽エネルギーが源となる薪炭であった。
(3)動力:水車の利用。人間と家畜の労力。
(4)衣・物・紙:衣食住の衣類や和紙は畑の農産物から取られた。すべてのものは高価で、それだけに大切に使われ、修理して使うことは欠かせず、いろいろなリサイクル業者がいた。
(5)三種のリサイクル業者:販売・修理・下取り専門の職人兼商人。修理・再生の専門業者。回収専門業者
(6〉照明:菜種油、椿湯、ごま油などの植物油からとった油で、行灯やろうそくの灯として使った。(以後、次回に続く)


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