ちょっと言わせて!

市民離れは命取り

何事も出来上がるまでの過程が楽しい。会社も創設期に携わり夢の実現に向かって進んでいるうちが「華」である。創設期の痛み、創業者の苦しみを共に分かち合うことで、苦境も乗り切ってしまう。「無我夢中」が何時の間にか人一倍の収入と地位がその代償となって跳ね返ってくる。だが、会社は放っておくとひとりで「お化け」かして手が付けられなくなる。気づいたときは、勝手に一人歩きしてしまうやっかいな「生き物」である。

 8月末に起きた郡山市のうすい百貨店とホテルハマツも、創設期ー最盛期ー円熟期を経て、一時代に幕を下ろした点では同じであろう。“うすい”と言えば、市郊外や田村郡、会津方部といったあたりの農家のおばちゃん達が孫を連れて、休みに買い物に来れた“ふだん着”のデパートであり、“ホテルハマツ”は開成に総合結婚式場「ウェディングプラザ平安閣」をオープンした時代であって、ともにその頃が「華」ではなかったのか。「市民と共にあった」と実感できる時代が最盛期なのである。

 その最盛期を経て「県民のー」、「県外のー」一流百貨店、ホテルをめざして事業を拡大し、共に東北最大級にのし上がった。そのあたりから少しづつ郡山市民から不平不満が聞かれるようになった。あまりにも高級志向に走り過ぎ、巨大化し過ぎた「うすい」であり、一部財界人固有の“応接間”になった「ハマツ」ではなかったのか。ハマツホテルに会員制クラブのプールや一泊20万円するインペリアルスイートがあること知らない市民が実に多い。果たして市民の何人が“泳ぎ”“泊まった”のだろうか。すでに市民の手を離れたホテルである。

 一地方都市の百貨店やホテルがどんなにもがいても、東京や大阪の百貨店やホテルにはなれない。人口33万人の郡山市と隣接市町村を併せても50万都市構想が限度である。共に“足下”を見直す必要がある。産業再生機構に再建を委ねた「うすい」、再生法で自主再建をめざす「ハマツ」も、共に営業継続という中での再出発になった。置かれた立場は微妙だが、「郡山市民あつての経営」だということを忘れてはならない。
 「次はあそこが危ない」とささやかれる県内の結婚式場や百貨店は危機感を一層募らせるだろう。「風評」に戸を立てることは出来ないが、それも市民やお客を忘れた経営を繰り返していれば、日ごろはおとなしいお客も「牙をむく」のも当たり前である。朋友であるべき「友の会」「互助会」は、これから本当の「味方」となるのか、それとも「敵」となるかは、企業としてのこれからの「誠実さ」にかかる。
 ハマツの経営理念は「お客様の喜びを私のよろこびとしたい」という創業者のことばである。「経済県都郡山市」のためにも再生に期待したい。(写真左は福島民報の8月29日・30日付)