特集:古民家と古民家再生

山形に大工・職人の「すごさ」を見た!
〜福島県建築大工業協会福島・伊達支部同行記〜
古民家と古民家再生を極める旅(1)

 やはり大工職人の目は違った。古民家そして古民家再生の“優れもの”を求めて福島県建築大工業協会福島・伊達支部のバスツアー約50名の一行は9月26日、朝6時45分に福島駅西口を一路山形県をめざし出発した。三浦藤夫福島支部長に「古民家を見に行きませんか」と誘われるままに、仕事仲間を誘いバスに飛び乗った始末である。「山形を旅する」と言えば誰もが「山形名物食べ歩き」と相場は決まっているものである。一日を共にする福島交通の運転手さんとガイドさんは、余りのマニアックな旅に、終始驚きを隠せない様子だ。行く所、見る所は「古い屋敷と古民家再生」の家ばかりである。昔懐かしいガイド嬢も上杉謙信、山形の3大名物のA・B・C (?・・答えは後ほど)を持ち出しては、まずは楽しませようと奮闘努力するが、その効果のほどはいかがたったのだか。
 まずは、現在は美術館として保存されている大正時代の日本建築の代表作とも言える上山市の「蟹仙洞」を皮切りに、酒蔵店本館が美術館となった天童市にある「出羽桜美術館」を訪ね、さらに山形市にある古民家再生の「風雅の国」とその頂点を極める「山寺芭蕉記念館」の茶室全館を探訪。旅の終わりは、信仰と京文化を継承する古民家の最高峰である「柏倉九エ門家」に向かい、16代当主からは「古民家」維持継続の難しさを知らされた。それらの一端を紹介しながら、日本文化の原点である日本の家造りについて、いま一度、考えてみようではありませんか。
【写真上から蟹仙洞、出羽桜美術館蔵座敷、山寺芭蕉記念館、柏倉九エ門家】


大正建築「蟹仙洞」。ここにあり!

 米沢市に入ると郊外にはまだ、昔懐かしい茅葺きの家が点在するの車窓にとび込んでくる。
素人の目にはただ、懐かしさと郷愁を掻き立てるだけの“古い民家”に過ぎないが、大工の目は上山市に大正時代に建築され、昭和に入って製糸業で富を得た長谷川兼三なる人物が収集した日本刀などが展示される蟹仙洞(かいせんどう)から変わり出す。廊下は桂の木、柱や建具は杉の木が使われ、場所によっては天井、隠れ家的な部屋に入る欅の階段、竹細工が見事な茶の間の囲炉裏などに特別の工夫と技術が施されている。会員は、「当時は職人の手間賃が安かったろうから、手間ひまをかけても造れたのだろう」「スゴイ!の一言。今ではこんな建築はできないし、昔の人のアイディアは素晴らしい」との感想。回廊から眺める日本庭園は池ともども見事なもの。名前の由来は美術品収集を横バイ人生と称し、蟹の性格に例えて命名したとのこと。またガイドさんのクイズ、山形3名産とは「りんご」「牛肉」「鯉」だそうです。

【案内】JAかみのやま温泉駅下車 徒歩7分
■蟹仙洞ホームページ

http://home.att.ne.jp/red/kaisendo/kaisendo.htm

「蔵」に見る日本建築のすごさ!

次に訪ねたのが天童市にある「出羽桜美術館」。出羽桜酒造の3代目社長である仲野清次郎氏が、1988年に開館したものだが、美術館は先代社長の旧住宅で、明治後期に建築された伝統的な日本家屋のひとつ。木造瓦葺の母屋と蔵座敷が展示室として公開している。蔵座敷の2階の梁は松の木、丸太1本もので、「日本全国を回って探さないとこうした木は見つからない」「蔵座敷の梁や天井などすべて『素晴らしい!』の一言に尽きる」との声。分館は「大正時代の物置蔵をそのまま美術館にした」と案内嬢の説明だが、どちらの蔵も扉の重々しさと廊下や天井の造り、さらに展示される骨董品には時代を感じるものばかり。「酒蔵会社が儲ける時代は、もう来ないのか・・・」との声もあり。まさに栄枯盛衰である。(つづく)

【案内】JA天童駅より 徒歩15分
■出羽桜美術館ホームページ
http://www.dewazakura.co.jp/museum.htm
※次回は風雅の国「山寺芭蕉記念館」と「柏倉九エ門家」を訪ねます。