特集:水環境

 福島大学と国土交通省東北地方整備局が主催となって「水循環シンポジウム」が、福島市飯坂町のパルセいいざかで20日に開かれた。このシンポジウムは福島大学が、平成17年度から「共生システム理工学類」を創設し学生の受入を予定していることから、環境システムマネジメント専攻」の中心課題である水の量的・質的確保のための流域水循環健全化に関して、“地域の抱える水問題”を中心に考えようというもので、特に水資源の豊かな福島県の課題解決に役立てようと開かれた。
 パネルデスカッションを前に近藤徹(独立行政法人水資源機構理事長)、虫明功臣(福島大学教授)、岡島成行(日本環境教育フォーラム専務理事)、藤井絢子(菜の花プロジェクトネットワーク会長・滋賀県環境生活協同組合理事長)の各氏がその分野から講演をおこなった。 パネルデスカッションでは、鈴木浩(福島大学地域創造支援センター教授)をコーディネーターに福島を流れる阿武隈川流域やその支流、地域と人をめぐる水問題について、先に講演を行った4氏を迎え、“健全な水循環系づくり”について意見を交わした。


行政側には川に対する理解が足りない!

 特にパネルデスカッションでは、「役所の壁を取り払い、情報を出し合う必要がある」という意見や「“合意形成”には行政立場、専門の立場、住民の立場で流域づくりを考えることが大事で、地域住民の参加が不可欠だ」という意見が出された。また「流域単位でモノを考えるとき、行政と専門、あるいは行政と住民とをコーデネーションできる人(コーディネーター)が必要であり、その地域に根づく人がいて、時間をかけて話しが通じるようになれば、必ず先が見えてくる」という意見もあった。
 特に「行政側には川に対する理解が足りないのではないか。“川で遊ぶ担当官”といった遊び系の人間がいて良いはず。国、都道府県、市町村になればなるほど、河川の担当官は現場をよく知らない。もっと現場に参加して欲しい」と厳しい声まで上がった。さらに「自治体は国が求めているモノ、国は自治体が求めているモノを互いに、知らな過ぎである。行政の連携によってもっと前進できるような体制ができるはず」という行政に対する意見が多く出された。

 

時代に合った公共事業の発注を!

また「いろいろな立場の人が、いろいろな立場でモノを考え、同じ土俵で語り合うことだが、福島ではまだその土俵づくりはできていない。ドイツが先進地としてよく例に取り上げられるが、それはドイツという国は環境に対する国民の教育が行き届いているからだ」という意見もあった。
 「地方は地方のマチづくりをすることは、災害のないマチづくりにもつながること。農水省だとか国土交通省だとかを問わずに、公共事業のあり方を考える必要がある。時代に合った公共事業の発注をお願いしたい。阿武隈川がひとつの手本となるような新しい公共事業を創り出して欲しい」という貴重な意見や要望が多く出された。
 最後に浜口東北地方整備局長は「水から見た良い地域づくりと縦割り行政の見直し、さらに水循環型のマチづくりめざして、新しい公共事業の創出を考えなければならないという思いを新たにした。さらに“強く美しい東北”づくりに努めたい」とあいさつし3時間半にわたるシンポジウムを締めくくった。
 なお、近藤徹(独立行政法人水資源機構理事長)、虫明功臣(福島大学教授)、岡島成行(日本環境教育フォーラム専務理事)、藤井絢子(菜の花プロジェクトネットワーク会長・滋賀県環境生活協同組合理事長)の各氏の講演の資料を掲載しております。(一部抜粋あり)