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地域再生の第一歩は地産地消から


〜県のまちづくり懇談会で鈴木教授が講演〜


21日に福島市で開催された商業まちづくり県民懇談会
21日に福島市で開催された商業まちづくり県民懇談会
 福島県は21日、商業まちづくりに関する県民懇談会を福島市で開催した。福島県商業まちづくり審議会の会長を務める福島大学共生システム理工学類の鈴木浩教授が地域の再生に関する基調講演を行い、地域のカネがその地域で循環するようなシステムづくりが地域再生のカギである語った。


  ===まちづくり条例施行を前に 県内7会場で懇談会===  

 同懇談会は、「売場面積6,000平方m以上の大型店の郊外への出店抑制」を主な内容とする福島県商業まちづくりの 施行を10月に控えて、県が取り組みを進めている「歩いて暮らせる持続可能なまちづくり」をはじめ、福島県のこれからのまちづくりについて県民に理解を求めるとともに意見交換を行うことを目的としている。
 懇談会は8月21日〜9月7日に県内7会場で開催されることになっており、21日に福島市で開催された県北地区の懇談会では、福島大学共生システム理工学類の鈴木浩教授が『商業まちづくりの推進について 〜地域再生を目指して〜』と題して基調講演を行った。鈴木教授は、福島県商業まちづくり審議会の会長として「福島県商業まりづくり基本方針」や「地域貢献活動ガイドライン」の策定に携わった立場から、中心市街地活性化や地域の再生に向けた課題について講演した。

●中央に食い荒らされる地方 ―

 講演の中で鈴木教授は、経済のグローバリズムの名のもとに全国的なネットワークを持つ中央の資本が日本各地に進出し、地方の商業・産業は「東京に食い荒らされている」のが現状であると指摘した。また、急速な少子・高齢化社会を迎えて、福島県の人口は210万人を割って、今後の人口増加はまず期待できない中で、これまでのように人口の増加やそれに伴う市街地の拡大を前提にしたまちづくりでは真に豊かな地域づくりのシナリオは描かれないとした。

 鈴木教授は地域再生の第一歩として、地域循環型経済システムの再構築の必要性を強調する。先に述べたように、中央の大型小売店などが地方に進出し、地元商店が衰退した結果、その売上げはすべて中央に送金され、地元経済は膨らまなくなっている。同様のことは住宅建設にも当てはまり、2003年には県内で1万3,741戸の住宅建設があり、その額3,000億円は県の公共投資額よりも多いにもかかわらず、その大半は中央のハウスメーカーが受注することによって、住宅投資は県外に流出してしまっている。鈴木教授は、県民の支出が県内で循環することで、地域におけるエネルギーを地域で膨らましていくシステムづくりが必要だと語った。

●都市と農村の連携をいかに図るか ―

街の中心部で開かれる朝市
街の中心部で開かれる朝市
また、まちづくりにおける都市と農村の連携の重要性を指摘した。中心市街地の活性化が叫ばれるなかで、それ以外の郊外を切り捨てるような政策を危惧する声は少なくない。福島県の場合、中心市街地の周りには広大な農村が広がっており、農村の協力なしには中心市街地の活性化もありえず、中心市街地を活性化することで、農村にも好影響を与えるようなまちづくりが必要だとした。飛騨高山では、街の中心部で朝市を開催しており、郊外からの農業従事者が自ら育てた農産物を直接販売しているという。そうした朝市が中心市街地に活気を与え、その賑わいが農産物の売上げにもつながるという相乗効果を発揮しており、こうしたことが都市と農村に連携の参考になるとした。

 まちづくりの先進国と言われるイギリス、ドイツ、フランスなどのヨーロッパ諸国では、100年〜150年先を見据えたまちづくりを進めているという。鈴木教授は、商業まちづくり条例の施行は、福島県のまちづくりの切り札になるものではなく、あくまで解決への手掛かり、きっかけに過ぎず、住民、行政、産業界、NPO、大学などの連携による息の長い努力が必要だと語った。


福島大学の鈴木浩教授
プロフィール 【鈴木 浩 すずき ひろし
福島大学理工学類教授・工学博士

1967年東北大学工学部建築学科卒業、78年東北大学大学院工学研究科建築学専攻博士課程修了、86〜87年文部省在外研究員(ロンドン大学バーレット校)、90年福島大学行政社会学部教授、2004年から現職。福島県商業まちづくり審議会会長、福島県総合計画審議会会長、福島県事業評価委員会委員長、福島県公共事業評価委員会委員長などを務める。主な著書に「サスティナブル・コミュニティ 福島からの発信」(サスティナブル・コミュニティ研究所)、「グローバリゼーションと地域」(八朔社)など。
 



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