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福島県総合評価方式入札の試行で説明会


〜価格以外に提案技術などを評価〜
7日の福島県総合評価方式説明会の様子
7日の福島県総合評価方式説明会の様子
 福島県土木部建設行政グループは7日、県発注工事における総合評価方式の試行に関する説明会を郡山市で開催した。9月1日から一部の工事で試行されている価格以外の総合評価による工事請負者の決定方式について、その手続き上の流れや評価の方法について説明が行われた。県では19年度以降も段階的に総合評価方式の試行対象工事を拡大していくとしている。
 公共工事は、従来、価格のみによる競争が中心であった。しかし、近年の厳しい財政事情で公共投資が減少している中、その受注をめぐる価格競争が激化し、著しい低価格による入札が急増するとともに、工事中の事故や手抜き工事の発生、下請業者や労働者へのしわ寄せなどによって公共工事の品質低下が懸念されている。
 そこで、公共工事の品質確保を図るために、発注者は競争参加者の技術的能力の審査を適切に行うとともに、品質の向上に係る技術提案を求めるよう努め、落札者の決定においては、価格に加えて技術提案の優劣を総合的に評価することにより、最も評価の高い者を落札者とすることが求められている。
 総合評価方式の採用によって、公共工事の施工に必要な技術的能力を有する者が施工することとなり、工事品質の確保や向上が図られ、また、民間企業が技術力競争を行うことで、技術と経営に優れた健全な建設業が育成されるほか、価格以外の多様な要素が考慮された競争が行われることで、談合が行われにくい環境が整備されることも期待されている。

||| 18年度に「簡易型」、19年度からは「標準型」を試行 |||
 すでに国土交通省が発注する工事などでは一部導入されているが、福島県では独自の審査項目を設けた「福島県総合評価方式」を9月1日以降に公告した条件付き一般競争入札を対象に試行を開始した。9月8日現在、土木部発注工事7件、農林水産部発注工事2件が公告されている。県ではこれに合わせて県発注工事における総合評価方式の試行に関する説明会を開催した。

福島県における総合評価方式の試行への取り組み

 説明会では、総合評価方式について、応札者から受け付ける技術提案の程度によって「簡易型」、「標準型」、「高度技術提案型」の3タイプに分けることが説明された。
 「簡易型」は、予定価格が5,000万円以上1億円未満の工事を対象としており、入札に際して企業から新たな技術提案は受け付けず、入札額のほか施工計画の適切性や技術力、地域社会に対する貢献度などを総合評価して落札者を決定するという。
 また、「標準型」では、「簡易型」の評価項目に加え、「工事現場周辺における対策」や「環境に対する影響の軽減」などについて応札者から技術提案を受けつけて落札者を決定する。対象工事は予定価格が1億円以上1.5億円未満の工事としている。
 さらに、予定価格1.5億円以上を対象とした「高度技術提案型」では、構造上の工夫や特殊な施工方法など高度な技術提案を受け付けることにしている。
 18年度は「簡易型」のみを試行し、「標準型」については19年度から、「高度技術提案型」については「評価手法などが確立した段階」でそれぞれ試行を開始するとしている。なお、予定価格5,000万円未満の工事については、従来通り価格競争を基本に施工計画の妥当性を勘案して落札者を決定する。

 説明会に参加した建設業者からは、国土交通省における総合評価方式との相違点や落札者の決定通知まで時間を要するため、その間、配置技術者が制約され、他の入札に参加できないケースがあるといった意見が示された。こうした声に対し、県では問題点について随時対応策を考えていくとともに、福島県総合評価方式について質問や意見をホームページなどで受け付けるとしている。(06.9.8)
福島県総合評価方式のホームページ


 「各社の技術力やアイデアでどこまでコスト縮減が図れるかが問題なのに、従来の一般競争入札は業者の提案を認める制度になっていない。“発注者の言いなりのものをいくらでつくるか”という価格競争がすべてで、経営努力は不要」。こうした従来の一般競争入札の問題点を指摘する声を背景に福島県でも企業から技術提案を受け付ける総合評価方式の試行が始まった。
 折りも折り、水谷建設の脱税事件から始まった福島県の公共工事をめぐる談合疑惑は、3人の逮捕者を出した現在でも、終息の気配は見えない。公共工事や建設業に対する県民の不信は高まる一方だ。
 福島県の総合評価方式では、評価項目として「地産地消」や「ボランティア活動」など客観的に評価するのが難しいように思われる項目も含まれている。また、「建設業以外の新分野進出」に努力している企業に加点するなど、建設業に専念することを否定するような矛盾した項目も見られる。
 県では学識経験者を交えて、公正・客観的に評価するとしているが、個別の入札における評価過程については公表しないとしており、本当に「公正・客観的」なのかは外部からは分からない。
 従来の一般競争入札に問題があるのは分かるが、総合評価方式の導入によって企業からどの程度の技術提案が示され、その結果、どの程度コストダウンにつながるのかは未知数だ。今後、県には評価過程において透明性を確保するとともに、総合評価方式の試行の結果、どの程度の効果があったのか説明を期待したい。(報道:須賀 毅)



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