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協働のまちづくりを成功させる5つのカギ


〜福島市景観セミナーで佐藤滋教授が講演〜


13日に開催された18年度福島市景観セミナー13日に開催された18年度福島市景観セミナー
 平成18年度福島市景観セミナーが13日に開催され、早稲田大学理工学術院教授の佐藤滋氏が『地域協働の景観まちづくり』と題する講演を行った。佐藤教授は、二本松市の竹根地区や山形県鶴岡市の街並み整備について景観アドバイザーを務めた経験から、住民をはじめ行政や企業、商店会、専門家など様々な立場の人が参加する「地域協働のまちづくり」を成功させるための秘訣について講演した。


  「景観の原理」を説き明かす  

 佐藤教授は「地域協働のまちづくり」を成功させる5つのポイントとして1)景観の原理を共有する、2)協働のデザインをする、3)ルールを作り運用する、4)事前に確認する−シミュレーションする、5)協働の体制を築き事業を組み立てる――の5点を挙げた。
 様々な立場の人が参加するまちづくりには、参加者がまず「景観の原理を共有する」ことが大事だという。「景観の原理」とは、それぞれの地域が歴史上どのよう意図を持ってまちづくりが行われてきたかということで、例えば、山形県の鶴岡市の場合、西側に位置する鳥海山を中心に対してまちの軸線が揃えられており、眺望や風の流れ、地下水脈といった自然の原理を取り入れたまちづくりが行われてきた。しかし、戦後はそれぞれの街が持っていた「景観の原理」は無視され、経済性や効率性を最優先とされてきた。街の景観形成を考えるに当たっては、こうした「景観の原理」を説き明かし、まちづくりの参加者は常にそれを再確認しながら進めることが重要だという。

●話し合いの中から新たな発想が生まれる ―

 「協働のデザインをする」では、それぞれの参加者が街づくりの意図や目的を共有するため、まずは「まち歩き」から始まって、まちづくり体験ゲームや地図を使った意見交換などを通じて除々に街づくりの方向性を共有していく。二本松市の竹田・根崎地区の場合、町並み整備に当たって、概ね「レトロなまちづくり」ということで住民の意見がまとまっていたが、話し合いを進める過程で「レトロ」といっても参加者のそれぞれがイメージするものが実際にはかなり食い違いがあることが明らかになってきたという。そうした相違点のすり合わせを行うなかからまちづくりに関する新たな発想が生まれることも多いという。

●作ったルールは常に点検すること ―

 まちづくりの参加者による共通理解ができたところで、その共通理解を明文化する「ルールを作り運用する」の過程に入る。ただし、ルールを作ったらそれで終わりではなく、状況の変化に応じてルールの見直しや追加といった再点検こそが重要だという。

●まちの歩行者を飽きさせない工夫を ―

 「事前に確認する−シミュレーションする」では、模型やコンピューターグラフィックスを使って、自分たちが進めようとしているまちづくりがどのようなものであるかを視覚的に確認することになる。全国で進められている多くのまちづくりが抱えている課題は、「大型公共事業によって街がきれいになってもそこだけに人が集まって周囲に回遊しない」ことだという。まちづくりの先進国であるイギリスでは人を回遊させるために歩行者に対してシンボリックな施設や店舗、公園など次々と現れるようなきめの細かい配慮を行っており、「事前に確認する−シミュレーションする」の段階では歩行者の視点から街がどのように現れてくるか想定することが大切だという。

●複数の組織を先導する指導者の役割が重要 ―

最後の「協働の体制を築き事業を組み立てる」では、様々な立場の人が参加する協働のまちづくりでは「誰がまちづくりの音頭をとるのか」を明確にすることが重要だという。まちづくりにあたっては多くの組織が立ち上げられるが、それぞれの組織が単なる情報交換の場なのか、あるいは何らかの意思決定組織なのかといった、それぞれの目的をはっきりさせることが不要な混乱や摩擦を減じることになるという。そのためには、各組織がまちづくり全体でどのような役割を担うのかをグランドデザインする指導的立場の人間の役割が大切だと語った。(06.11.15)


早稲田大学理工学術院・佐藤滋教授
プロフィール 【佐藤 滋 さとう しげる
早稲田大学理工学術院教授、早稲田大学都市・地域研究所所長

1949年千葉県生まれ。73年早稲田大学理工学部建築学科卒業、同大学大学院修士課程修了。専門は都市計画/まちづくり。まちづくり・地域づくりの実践として鶴岡市城下町都市デザイン(1995年〜)、二本松竹根地区町並みまちづくり(1999年〜)などを市民・行政・専門家・大学のパートナーシップ体制の下で進めている。

 



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