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スクラップ&ビルド社会からストック社会へ
仙台で住宅の長寿命化を考えるシンポジウム

 仙台市で2日、「東北地方における住宅の長寿命化を考える」シンポジウムが開かれた。壊しては造るというスクラップ&ビルドの社会から長期的に住み続けられる質の高い住宅の建設をめざすため、「長期優良住宅普及促進法」が施行された今年6月から、住宅政策は“量から質”へと転換する本格的な取り組みが始まった。




 会場では、長期優良住宅への取り組みと今後に向けた期待と動向、さらには住宅の長寿化にむけた施策の展開などについて京都大学の巽一夫(たつみ・かずお)名誉教授、三井所清典芝浦工大教授が講演をおこなったほか、国土交通省住宅局の川田昌樹市街地住宅整備室企画係長が、「長期優良住宅の認定制度や長寿化に向けた施策の展開」などについて説明した。 
後半は、東北地方における長期優良住宅の展開について地元の建築士を含む4人のバネリストと会場の参加者を交えてパネルディスカッションが行われ、これからの日本の住宅の在り方、地域に根ざした住まいとまちづくりとは何かについて活発な意見が交わされた。

 今回のシンポジウムでは「いいものをつくって、きちんと手入れして、長く使う」というこれまでのスクラップ&ビルドの社会の概念からストック社会への形成をより鮮明に『住宅の在り方』について踏み込んでいる。これまでの消費者は「家を買う、できるだけ安く買う」という概念が定着し、「家について学ぶ、家を造る」という最も基本的な「家づくり」についての観念を持たないのが我々、日本人である。欧米諸国では、映画のワンシーンにも登場するペンキを塗って自らリフォームするという行為は、日本人には希薄である。そうしたこれまでの考え方を一変させ、少なくても“200年は保つ”住宅づくり、“孫子の代まで住み続けられる”住宅の建設が大切なのだという国民の意識を変えるためにも国が打ち出した「長期優良住宅」の取り組みは意義あるものだ。

建設に必要な住宅ローンの枠組みが必要

 長期優良住宅への本格的な取り組みには、国民の意識改革も必要だが、まず、国が、建設に必要な住宅ローンの枠組みの整備、住宅の資産価値を活用した新たなローン提供の構築、住宅に係わる税負担の軽減、先進的モデル事業の実施や良好なまちなみの形成・維持が必要だと巽教授は指摘した。また、長期優良住宅の認定基準にも触れ、構造躯体の耐久性や耐震化、維持管理の容易性、可変性・耐用性能の確保、住環境への配慮、計画的な維持管理と履歴、必要な面積の確保などのほか、これらの実現には、地域の住まい・まちづくりや地域産材・技術活動、住宅金融税制、所有・利用・管理・流通といった、新しいサブシステムの形成が長寿化住宅の普及と推進には欠かせないものだと語った。

設計者や工務店による維持管理や履歴保存が必要

 長期優良住宅の推進には、国産材を活用した幅広い分野における総合的な提案が必要で、普及には集成材や合板なども含めた取り組みが大切と提案するのは三井所教授。また、参画する設計者や工務店による維持管理や履歴保存、さらに林業の見直しも含めた幅広い分野での提案と連携が、波及効果を高くすると分析する。また、住宅が長期的に利用され価値を保つには住宅単体の性能だけでなく、みちなみ・住環境の要素が非常に重要だと話す。伝統的なまちなみや地域の気候風土に調和した住宅が大切だとモデル住宅事業の概評と今後の動向で語った。ようするに長期優良住宅には、地域材を活用しながら地域に根ざした特色ある住宅の提案が必要と説いた。09.9.4)

■「長期優良住宅の推進に関するシンポジウム」詳細はこちらから
http://www.jh-a.or.jp/course/090902.html
■シンポジウム資料はこちらから
http://www.medianetplan.com/members/





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