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佐久間氏が「共同受注化」への熱い決意を語る!
建設業の生き残りは住民への安心と安全の確保から

 福島商工会議所が経営者や若手後継者を対象に、新事業の展開、見直しなどで、経営を革新する「オープンセミナー」が17日、福島市の福島ビューホテルで開かれた。3事例紹介のひとつとして、建設業の新しい事業の取り組みとして、奥会津地方の4町村(柳津、三島、金山、昭和)の建設業者(現在10社加盟)が結集して共同受注するという手法が紹介された。
 宮下地区建設業協同組合代表理事の佐久間源一郎さん(佐久間建設工業代表取締役)が「公募型プロポーザル方式(道路等維持管理補修委託事業受託)について」と題して、事業者の意識転換と地域建設業が共同受注で充実した活動に転換したその取り組みを披露した。




 同組合が共同受注を行うことになったその背景には、組合会員と従業員の数が、最盛期の5分の1に減少、さらに組合員の年間受注高が最盛期の7分の1に落ち込み、このままでは地域の産業として生き残れない危機感から、親元である福島県建設業協同組合の組合事業活性化特別委員会がとりまとめた5つの提案のひとつである「共同受注について」検討した。その結果、“まずは出来ることから始めよう”と北海道や新潟などの先進地を視察し、宮下地区建設業協同組合は公共事業(100%)だけで試みることを決意、県内の先駆け、モデルとして事業が始まった。
 

 奥会津地方の建設業者に共同受注化を決意させたのは、先に述べた公共事業の減少という背景の他に、談合を防止するための入札制度改革が重くのしかかっている。指名競争入札から一般競争入札への移行によって落札率の低下、さらには他地区の業者によるダンピング受注の増加など、これまでにはなかった様々な要因が発生、

それによって建設業経営はさらに悪化し、各地区で倒産や廃業が相次ぎ、生き残った建設業者にも人員の整理や建設機械の削減が余儀なくされた。他地区の業者が地元工事を受注することで、これまで円滑に行われてきた市民サービスの低下が如実に表面化した。災害時における復旧作業、河川や道路の美化作業、さらに地域の円滑な維持管理体制の確保が困難となる事態が発生するようになった。「これでは、地域の安全・安心、地域の防災活動にも支障がでることになる」と共同受注化への決意を佐久間さんは熱く語った。(地元紙が取りあげた同組合の活動)

 特に冬期交通の確保のための初期始動体制を含む『除雪作業』、危険箇所の早期発見と事故の未然防止等を行う『道路・河川のパトロール』、多様化・高度化する『住民の要望』など、安心と安全へのスピーディーな対応がますます住民から求められる現状でありながら、氷河期真只中の建設業界の疲弊は、組合員の個々の能力までも低下させているのだ。個々の企業が単独で「安心と安全」を確保できなくなったことからも、奥会津地方の「共同受注」は避けられない。
「安心・安全+安定した受注の確保=中山間地域道路等の維持補修業務の受注」にほかならない。同組合の管内土木事務所発注の年間受託高は2億5000万円(単価契約が約2・1億円、総価契約が約3・3千万円)となった。さらに県の緊急雇用創出基金事業「金山町道路等維持補修業務」で1、200万円を随意契約で受注するなど安定した受注の確保が図られている。

今後、佐久間さんは、受注高を3億円から5億円に伸ばしたいと決意を新たにしながらも、受注増加を図るには町村との維持管理と除雪作業を受託する取り組みや組合員の安定した経営環境の確保を挙げて、最低制限価格のアップなど入札制度改革が本当に意味のある改革になるよう要望した。また、共同受注のメリットとデメリットを検証しながら、さらに行政任せの市民サービスではなく、発注者と意思の疎通をはかり、より良い市民サービスをめざすと締めくくった。(09.10.20)


取材を終えて
 「苦痛の中の選択」と感じてならない。佐久間組合長は決して胸を張って経営革新の事例発表に参加したのではないのではないかーと終始疑問に思って聴き入っていた。年間2億5000万円の受託事業だが、現在の組合員は10社である。奥会津地方という過酷な労働条件中で、 果たして個々の建設業者の経営は成り立っていくのか。参加者の1人から(業界関係者)「割り振りでもめないか」という質問があった。それに対し佐久間氏は、「共同受注と言っても平等ではない。従来の地盤は既存の会社が受け継いでいる。その中には不満も当然ある」と答えた。だが、「みんなでやるしかない!」という結束が県内のモデル事業となり、新たな業界の取り組みを示唆した。今後、山口地区や石川地区でも同様な取り組みを模索中だという。(参加者からは質問も飛ぶ)

 第三者から言えば、共同受注は社会主義(生産手段の社会的共有・管理などによって、平等な社会を実現しようとする思想・運動)の考え方にも酷似する部分があると感じる。競争という資本主義の考え方から離れ、「みんなで渡れば怖くない」という別な意味で従来の“護送船団方式”を連想してしまう。「市民を味方にした建設業をめざすべきだ」と当建設メディアは、「会社概要」の中で業界に訴えてきた。“私どもの新テーマは、「生真面目な建設業の支援と不真面目な建設業に対する市民の支援」だ”するのがテーマだ。これまで建設業は市民と向き合うことはなかった。ダーティーなイメージのまま、「建設業界氷河期」に突入した。政権も自民党から民主党に変わったのも市民のパワーである。共同受注が今後、成功がこれからも維持できるとすれば、それはどれだけ市民を味方に付けられるかである。その市民パワーには、「業者のための入札制度改革」に変えて貰う力だって潜んでいるのだ。(富田)





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