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仮設であっても「住まい」として建てよ!
県工生が検証した“仮設住宅”の知られざる実態

 先日、福島県立福島工業高校で行われた「平成23年度課題研究発表会」(写真)に参加する機会を得た。1.2年生が課題学習の成果を全生徒の前で発表するというもので、機械科、建築科、環境科学科、情報電子化、電気科の生徒諸君が堂々と発表する姿に感心するばかりか、驚くような研究発表が目白押しだった。特に注目したのは建築科3年生が取り組んだ『応急仮設住宅のユニバーサルデザイン検証』だ。これは震災に伴う仮設住宅の現状を調査し、ユニバーサルデザインの検証結果や改善などを実際に桑折町駅前にある仮設住宅(300戸数)を訪れてまとめたものだが、実際にこの仮設住宅をアーダもコーダと設計した大人たちに教えてやりたいほど、的を得た研究発表であった。


 まず、研究のテーマは「県内だけでも約1万6000戸の応急仮設住宅が建設されだが、応急ではあるが、長期化が予想されることから、これを維持するためには。“人が住む”ための“住まい”としての性能や条件などを検証し、共に改善策を考えていく」というのが高校生の狙いで、調査の視点は(1)応急仮設住宅の規格と性能について(2)設備と使いやすさについて(3)安全(防災、防犯等)について(4)気候の変化への対応について(4)共同施設について等を挙げて積極的に取り組んだのである。

高校生の検証結果こそが、仮設住宅建設への提言

 この調査で得た結果は、まずハード面では○各部屋が狭い○収納スペースが足りない○下足入れがない○南側窓が小さい○気候の変化に対応できない○入居者が工夫して収納していた○風除室が取り付けられたという点。さらにソフト面では、○近隣にマーケットやホームセンターがあり、生活用品の入手が容易○ひとつの地域としてまとまりが感じられる○要望して改善されたことが多い○改善点は新しい仮設住宅に活かされている○入居者の前居住地に比べ寒さが厳しい○高齢の一人暮らしが多い○入居者の平均年齢が比較的高いという点である。また、「応急仮設住宅には国の基準がある。ここの仮設住宅は阪神大震災と同じ規格で建てられている。改善を要望する時は個人でなく組織として提案する」と言った自治会長さんの談話も挙げている。最後にこの仮設住宅を検証しまとめた高校生の提言がこれだ。

◎ 仮設であっても「住まい」として建てる
  応急仮設→恒久仮設(長期化への備え)
◎ 床面積、収納面積を増やす
◎ 地域にあった性能と設備が必要である
  防暑、防寒対策、防災対策など
◎ プライバシーにも配慮する
  防音対策、浴室間仕切りなど
◎ コミュニティーの確保
  一人暮らし老人、地域としてのまとまりな


取材を終えて一言

いかに「仮設住宅」とは、発注機関である国のいい加減さと、それを請け負う“天下り”外郭団体の営利目的が優先されているかが、高校生の検証でも明らかにされているようである。“人が住む”平穏な生活を営みたいという目的は、避難者というだけで「有り合わせ」と「間に合わせ」で建築された鶏小屋のような住まいを『住宅』と呼ぶことに腹立しさを覚えたが、高校生の検証結果が、これからの「緊急仮設住宅・行政」に反映されることを期待したい。(富田・12.02.16)





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