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審査の明暗を分けたのは「一生懸命さ」だった
県建築設計協同組合の二本松市「にいどのこども園」新築設計業務委託

 長〜い長〜い沈黙の末に、辿り着いた松井壽則審査長の下した答えは「一生懸命さ」だった。
 二本松市から福島県建築設計協同組合に業務委託された「にいどのこども園新築設計業務」の第二次審査会が3日、二本松市民交流センターで開かれ、二次審査まで残った邑建築事務所、
清水公夫研究所、杜設計が最終ヒヤリングに挑んだ。会場は多くの関係者が見守る中で始まり、3者は"学びと遊び"をテーマに安心と安全、園舎配置、環境対策、防犯と防災、自然エネルギーの採用、放射能対策等にそれぞれの考え方を短い時間に提案書を濃縮した形で説明を行った。審査委員には松井壽則日本大学工学部建築学科准教授、遠藤俊男二本松市福祉部長、守岡健次同建設部長、北川圭子郡山女子大学家政学部教授の4人が当たり、休憩を挟んで入選提案書の選定に移り、それぞれ意見を交わした。

 まず佳作は邑建築事務所に異論はなかったが、最優秀選定者には市側の2部長が杜設計案に投票、大学側の2教授は清水案に投票した。何度となく最終決定の意見を交わすが結論は出ない。長い沈黙が何度となく続いた末に松井委員委員長が杜設計案に再投票する形で決着した。市側は設計者の積極的なリーダシップが必要だとするコンセプトを最後まで譲る気配はなかった。発注者側に根負けした形で松井委員長が裁断を下す道を選んだ。その「一生懸命さ」が審査の明暗を分けた。どの設計者が挑もうとその善し悪しに大差はない。あるのは、発注者側が折れることのなかった「設計者が請け負った後にリーダーシップをいかに発揮してくれるか」の一言に尽きていた。万策尽きた時、人はやはり「一生懸命さとやる気」が溢れた設計者に心を委ねるしかない。

 全審査委員がこれほどまでに真剣に質疑した公開ヒヤリングを見たことはなかった。まして審査を密室で行うことなく公開方式をとった県建築設計協同組合の手法に拍手である。今後はどのようなヒヤリングや審査会でも公開が原則である。こうした設計コンペに付きものの「出来レース」を払拭するいい機会にもなった。もっと審査を明確にするためにはやはり、全委員による「点数制の導入」と「審査委員の奇数制」は欠かせないだろう。(12.12.4)





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