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発注者側の意図多く、審査進行に課題残す
にほんまつ保育所新築設計で最優秀者決定審査会

 福島県建築設計協同組合が二本松市から受諾した「にほんまつ保育所新築設計業務」の担当者選定のための設計競技公開審査会が8月27日、二本松市で行われた。

 
審査会には条件を満たし選考された5者の作品が会場に展示公開され、審査委員長を務めた松井壽則日本大学工学部建築学科准教授を始め柴崎恭秀短会津大学短期大学部准教授、佐々木悦子(仮称)にほんまつ保育所職員検討委員会委員長、佐原一彦二本松市福祉部長、守岡健次同建設部長。伊藤惇郭内町内会長、渡邊宏株式会社関・空間設計社長の審査員が審査に当たった。

 今回の審査は技術提案者5者のヒヤリングは行わず、技術提案書を基に意見を交わした。審査は3時間を超え、審査員それぞれの立場から優劣を競う方式で行われた。提案者は「見守り、育む多様な空間」(提案1)、「こどもたちが明るく、元気に過ごせる園舎づくり」(提案2)、「地球環境の教えから始まる」(提案3)、「五感で感じるにほんまつ保育所」(提案4)、「こどもの小さな町」(提案5)をコンセプトに独創性、独自性を提案した。

 これら5案に対し、審査委員からは「保育所らしさが外観的に欲しかった」「安心・安全に配慮が欲しかった」「位置取りが悪い」「防犯に対する提案が欲しかった」「フラットな園庭が望ましい」「管理しにくい配置だ」「園庭が狭い」「緑に囲まれたのは良いが、周囲から取り残されたようだ」「回遊型で良いが迷子にならないか」「段差がある」「子どもの家としては良いが、保育所ではどうか」などと言った意見が出された。
 特に市側からは、「児童の安心・安全面の確保が優先」「夢のある提案は良いが、現実的に公立で(の採用)は厳しい」「市長判断もある」という現実優先を選考する発言が多く出されほか、提案書以外のアクセス道の問題や駐車場周辺地の現状問題等にも触れ、審査進行には課題が残った。

 


 また、審査に当たっては、最優秀候補に3点、優秀候補に2点、佳作に1点の配点で無記名投票が行われた結果、提案2者と提案5者の提案書を再度審査し、最終審査では審査員が3対3の同票となったが、松井審査委員長が提案2者に投票したことで最優秀作品に決まった。組合事務局が氏名を公表した結果、設計担当者には郡山市の清水公夫研究所の作品(=写真)が決定した。優秀作品には白河市の辺見美津男設計室の提案書に決まった。


取材を終えて
県建築設計協同組合『方式』が増えることに期待!

 何と、3時間半を越す審査会となったが、福島県建築設計協同組合が審査会を公開で行ったことで、審査員の考え方、また、発注者の意図するところがハッキリと見えた形だ。特に会場には若手の設計士達の顔も多く見られ、今後の設計の参考になったハズ。

 
ただ、素人目には、発注者側の思惑が全面に出た形で進められ、建築専門家である設計会社や大学側の真意が伝わってこなかったのは残念だ。審査会で双方 から多くの意見が出されたこの「意見交換会」の様子を事前に提案者や、将来ある若い設計士も「応募設計図書提出の前」にしっかりと聴くことが出来れ ば、さらに発注者側の意図や思惑を引き出す手がかりが出来たと思うが如何だろう。

 もう一つ、やはり審査進行である。長時間かけ審査したのだから、無記名投票であれば1回で決めて欲しかった。投票の後の意見交換は「蛇足」としか言いようがない。ズルズルと発注者の思惑にハマッて、「オレの提案は一体、何だったんだよ」となりかねないか。まあ、何処で"幕引き"にするかは審査委員長の決断だが、長々やっていると"出来レースへの誘導"なんで言われないか。ともあれ! 今後もこうした設計コンペ等では、すべて公開を原則とした「福島県建築設計協同組合方式」が増えることを期待したい。(13/8/30・富田)





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