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古建築物に漂う先人の"息づかい"を遺せ!
どんなモノでも残せるモノは後世に伝えよ


 
  東日本大震災からすでに丸3年が経った。震災によって多くの建物が被害に遭い、福島市周辺からも多くの由緒ある古建造物や旧家・古民家が姿を消した。その保存を巡っては、これまでも多くの知識人や著名人が保存を訴える活動や取り組みをしてきた。

 ―にも拘わらず、「保存より解体」が優先することに選択する保有者は後を絶たない。これまで所属する団体や保有者からも「生の声」を幾度か聴く機会を得たが、今回、「問題はここにある」と思えた事案にあった。それは、ホームページ制作を一任されている工務店の依頼で改築を終えた施主のインタビュー取材に伺った時のことだ。
 

 施主は、地元の工務店に改修をお願いしたが、下見に来ていきなり「壊した方が良い。この町の約7割の被災住宅は解体したからー」の一言で、内部も見ないで結論を出した」という現実である。このことは一つに、この工務店は請け負っても復元する技術を持っていなかったこと、二つに解体には国や県が積極的に費用を出す現実があること、三つに、保存や復元という観念はなく、新築しかやらない。四つにお客がどんな思いで改修をしたいのかという思いになれないことなど幾つかの要件があったはず。

その家にはその家の歴史がある

以前、ある設計者が、「解体か、保存かで迷っている所有者に、建築士や建築家、それに行政が解体を勧める発言をすれば、それはそっちになびくのは当たり前だ」という発言を聴き、同感したことがあった。特に福島県下の自治体の首長や担当者には歴史ある建造物の保存に疎く、関心のない人間が多いことに気付く。我が住む福島市もしかり、福島市は教育委員会文化課ぐらいだ。職員もコロコロ変わり、じっくりとこうした取り組みを後押しする職員は育っていないのが現実。

 修復や復元は新築するより時間と費用を要する。さらに取り壊したらさらに復元は難しい。だからと言って、福島の歴史を残せるのは古建築物と古文書だけだ。子ども達に福島の歴史を教えず、学ぶモノが無かったら福島への愛着も疎遠になる。どんなモノでも残せるモノは後世に伝えなければならない。それは今、この時代を生きている我々の責任である。その家にはその家の歴史がある。その時代に生きた証は古い建築物に漂う先人の"息づかい"のする匂いであり、そこで手にする古文書の"温もり"である。

 建築設計士も建築技術士も"解体より保存"の道を選択することに固執して欲しい。復元したとき、改修したとき、依頼者はそれまで以上に我が家に「愛情と哀愁」と感じるはずだ。人の喜びを共有することが出来る建築関係者が育って欲しい。(2014/05/20)

参考
三浦工匠店ホームページ
http://www.shinsukiya.jp/interview/20150519/index.html






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