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経営とは「どのポジションでものを見るか」である

慶徳総合経営センター株式会社
代表取締役税理士 慶徳 孝一

 寺田寅彦の随筆に、次のような一節があります (『柿の種]岩波文庫)。「鳥や魚のように、自分の眼が頭の両側についていて、右の眼で見る景色と、左の眼で見る景色と別々にまるでちがっていたら、この世界がどんなに見えるか、そうしてわれわれの世界観、人生観がどうなるか」同様に、人が何かを観察する場合も、同じ物でも見る部分や方向によって全く違う感想を持ちます。
 ある社長の口癖は、「経営者はつまらない」です。理由を聞くと、「従業員に毎月払う賃金で苦労し、やっと役に立つ従業員になるとすぐ辞める」等と言います。また、ある社長は、「経営者ほど得な生き方はない」が口癖です。理由は、「定年が無い。他人に給料が払える。商売の方法を自分で決められる。毎年、所得は自分の物になる」等です。

 同じような苦労であっても、例えば従業員に給料を払う時、単に苦痛と思う経営者もいれば、今月も無事に払えて幸せと喜ぶ経営者もいます。有能な従業員が退職して独立した時も、部下に見切りを付けられたと悲観する経営者もいれば、自社の従業員レベルの高さに誇りを持つ経営者もいます。経営者の苦労と喜びは、同じ場面でも見る部分や経営ビジョン (展望)の方向等によって全く違う感想を持つことになるのです。
 ある方から「あと10年で消える職業の中に税務申告代行者・簿記会計監査の事務員が含まれていたよ」と聞かされました。オックスフォード大学教授の論文に、コンピューターに取って代わられる職業として明記されていたと言います。スキルがなければその通りになるでしょうが、スキルに磨きをかければますます面白い仕事ができると思っております。要はどのポジションでものを見ているかだと思います。

 寺田寅彦は、夏目漱石の時代に日常の不思議を研究した物理学者としても著名であり、関東大震災を体験し「天災と日本人」や 「地震雑感ノ津波と人間」等の科学者の視点での随筆集も残しています。原発再稼働問題や消費税の再引き上げ問題等、見方の違いで賛否両論分かれる議論が世にあふれる今の時代、もしもその言葉が聞けたなら、どのように示唆に富んだものだったでしょう。
(2014/11/25)

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