変な期待感に目覚めなさい

2000.3


 「ウチの組合は規制緩和のお陰で逆に業者の数が増えて困ってますよ。アウトサイダーや地域外の同業者の進出で、組合員の仕事はガタ落ちです。このままでは会員からも倒産や廃業がでます。一日でも早い景気の回復と工事受注の機会を与えて欲しい」とは、ある専門工事業の事務局長Aさん。

 福島県は2000年度の当初予算を1兆190億円と発表し昨年度と比べわずか1%の微増だ。公共工事の2本柱である土木費と農林水産業費もそれぞれ9.1%と7.1%減り、災害復旧費を含めた公共土木費も全体では9.9%減って2311億円。最終的には補正予算の実質繰り越しを含め2900億円止まりとなった。
 それに加えて借金総額は2%伸び総額で1兆1144億円と膨らんでとうとう当初予算額を上回った。一般紙も"家庭なら借金が年収を超えた"とひねくった。まさにこれから先の佐藤県政はお先真っ暗の借金地獄だ。佐藤知事も青色吐息の状態だが、事務局長のAさんは景気回復と工事受注拡大になおも期待を寄せていたのだ。

 他力本願の組合もあれば、そんな建設業体系からいち早く脱皮する若手経営者も増えた。素早い行動力に年輩の経営者から煙たがれることもあるようだが、ある若手経営者は「協会や組合の行動を待っていたのでは受注体制は遅れる一方。これからは組織力をあてにせず、自助努力で乗り切るほかはない。組織の縦のつながりより、同年代の横のつながりを大切にし、これまでの経営体質から脱皮したい」という。また、ある若手は「われわれ協会では、いまや古参株と若手との亀裂、古参株同志でも新進派と護憲派、若手も新進派と護憲派に分かれ、4会派または8会派ぐらいまで内部分裂の状態だ」と分析する。見えざる会派の中で、21世紀を勝ち組で生き抜くのは、新進派の若手となるだろう。

 森は木の高さに合った太さと、木と木の間は、高さの20%以上離れてなければ、森としての機能は果たせず“森”は死んでいくという。森を建設業者に例えるなら、売上げにあった会社の資本力と同地域にある建設業者の数ということになる。まさにAさんの組合はその機能を果たしてないのだ。そのバランスを失ったとき、森であれば“間伐”の実行と“周りの環境整備”を考えなければならない。すなわち業者数を減らさなければ、建設業という森は死んでしまう。その瀕死の状態が2000年を迎えた建設業の偽らない実態なのである。

 Aさんの組合も他の協会も昔は地域に根ざした必要欠くべからずの職であったはずだ。地域災害はもちろん、町内祭り事にも存分に力を発揮し中心的な役割を担った。仕事のあるところに業者が群れるのは当たり前で、年を重ねるごとにその形態が失われた。下手をすれば地域の中心的な役割も薄れ、災害がなければ災害が来る事を願い、人情豊かな地域の祭り事は政(まつりごと)一色に染まり、国会議員や首長の選挙活動と政治献金に身を踊らせることになる。

 Aさん、いまならまだ遅くないですよ。他力本願な期待感に目覚め、もっと組合として組織として会員に何が出来るか、会員には何が今必要なのかを考える上げるべきです。(2000.3)