業者の独り言が聞こえる?

2001.3


 「私はね〜。建設業をやっていたから談合はよくやってましたよ。当て馬が本気になって積算なんかやりますか。」「談合問題を議会で追求したら、次の選挙では落ちてしまった」と、苦い思いを噛みしめながらも“談合をなくす”ことに全力を注ぐ元建設会社社長や元市議会議員。ともに今は市民オンブズマン的存在の人たちの発言。
 土曜日の東京弁護士会館には発注者、建設業者、弁護士、マスコミ、一般市民、学生など様々なジャンルから200人近い人たちが集まり、中にはバリバリの市民オンブズマンの一般市民も同席していた。国会議事堂や国土交通省など日本頭脳の中枢が集まる霞ヶ関周辺の閑散な雰囲気とは裏腹に、弁護士会館だけは平日並みの熱気に包まれ、4時間に及ぶ会場の熱気に「本当に変わったよなァ・・」とひとりつぶやく。

 正直言って、建設業者も変わらざるを得ないとこまで来たという印象と同時に、発注者の責任がこれほどまでに追求され、追いつめられた場面は取材した限りではなかった。こうした市民パワーの圧力は発注者の責任、業者の責任、そして国の曖昧さをそのまま21世紀に持ち込んだ政治の責任、いわゆる政官業全体の責任に他ならない。日本弁護士会の提言は100%と言っていいほど的を得たものであった。これだけの提言と4月から施行される「公共工事入札契約適正化法」は今後、悪質政治屋の介入阻止、特権意識の強い官僚や役人の責任追及、公共事業を選挙に絡む首長からの指名権の奪回、悪質業者の業界からの永久追放の手段であって欲しい。
 何よりも一般建設業者そのものも過去の歴史を継承してはならない。「仕事は仲間がくれるもの」「協会や組合が仕事の段取りは付けるもの」「仕事は政治屋が運んでくるもの」「役所は仕事を回してくれるもの」こうした考え方は過去の遺物に過ぎないのだ。

 4月からは業者のこんな独り言が聞こえそうだ。「4月から入札契約適正化法の施行かょー。これから仲間とゴルフや飲み会をやっても仕事は回って来ねべ〜。協会や組合だって仕事の段取りまで付けられねべな。国会議員の○×チャンも当でにはなんね。それに役所の××係長も「アンタとだけ、特別な話しは、これからできねな」と言ってだと思うと、「これがらは入札額の根拠を示す積算書の提出も義務付けになっから」と言っていた。役所も俺をなぜ指名したかも今度から聞かれると言っていた。俺たちだって仲間に簡単に保証人になってくれとは言えね。やっと取った工事だってこれまでは予定価格の95%や98%でうま味もあったのに、一般競争じゃ85%を切るって言っていたな。ますます利幅も薄くなるなー。だからと言って下請けには「丸投げ」はできねし。見つかったらすぐに指名停止になって長い間今度干されたら、やっぱり自主廃業すっか自己破産だな。
 談合は悪いと言われたって、加わらなかったら村八分だし、加わったら加わったで、仲間うちばかりか役所からも公取委や国土交通省に通報されたら終わりだっぺよ。役所からは3倍の損害賠償の予約を取られてるから、訴訟を起こされて裁判だ。どっちにしても廃業か倒産だな。そうだ!あいつが持ち込んできた合併の話もいま進めるのも悪くねがもな。その前にメーン銀行の支店長から『××建設との合併も考えてみてくれ』と言ってたのは、俺のどころの不良債権も少しは処理してんだべしな。こうなっちまったら針の筵だな〜。
 だけど国は本気でこんな法律を4月からやる気なのかよ〜。とりあえず、あの○×市長はどういう考え何だべ。まだ例の猶予期間ツーのがあって結局のところザル法になんのがな。いや今度は本気かもな〜」。
 もうすでに、こんな独り言をつぶやく建設業者もいるだろう。だが確実に業者の数は現在の3分の1になる。5年後か、それとも10年後か、誰にもその答えの確信性は言えない。確実なことは、今という時代の波に乗り切れなかったら3年後、いや5年後にあなたの会社は確実に“消滅”する。(2001.3)