飛び込んだ一枚のチラシ

主幹 富田正廣


 先祖の供養も終わる8月16日、総務省は地方自治体が単独で行う公共事業、いわゆる地方単独事業を2002年度は、今年度よりさらに厳しい10%削減する方針を固めたことを発表した。また同7日には、国がおこなう公共事業も10%削減することを決めていただけに、全国の地方建設業はますます厳しい環境下に置かれることになった。 県内でも都市部より会津や浜通りといった地方の業者は今年になって一段とその厳しさを実感するばかりか、各地では相次ぐ倒産に一段と危機感を募らせている。特に一般土木業者は、今年に入ってさらに厳しく、建設業がその地域の基幹産業として果たす役割も危うくなってきた。
 最近だけでも郡山市の東洋開発(負債総額5億5000万円)、大越町の遠藤組(同3億円)、下郷町の旭総合開発(同5億円)、福島市の武内建設工業(同不明)、いわき市の磐城土建工業(同10億円内外)、只見町の只見工業(同4億円)、会津若松市の石万建設工業(同不明)、船引町の荒金重機(同13億円)など、まさに地域を代表する歴史ある会社ばかりである。それだけに解雇を余儀なくされた従業員や取引先、下請業者などに与える影響の大きさは言うまでもない。
 どの企業にも共通している点は公共工事に対する依存率が高いことである。それも公共土木が90%以上を占め国の政策や県・自治体などの方針によって大きく左右されることだ。まさに受注産業であり請負業者である。まだ、同じ道を辿る企業は後を絶たないだろうが、どこかでこの現状を打破する英知を見出さなければ、いつまでも金太郎飴のように切っても切っても同じ会社が続くばかりである。

 ここに一枚のチラシが舞い込んだ。我が友人が「参考になるのではないか」と言って持ってきたのである。工事の挨拶とともにご近所さんに配って“自宅前や農道などを工事の合間を見て舗装工事をしますよ”という内容である。施工業者は仙台市太白区にあるヤマト開発さんである。県内にも郡山といわきにあるようだが、施工場所は大玉村内である。手作りのチラシには、住民各位に対し工事で迷惑をかけますという 下りから始まり「舗装材料費+作業代」だけで格安に自宅前や農道などの舗装を施工しますという内容だ。そこには「重機代+搬送費+施工管理費」は、工事現場が近いのでカットしてやらせていただきますということである。見積価格は今回限りであり施工の日程も当社に任せて欲しいが、支払いは一括でも2〜4ヶ月でも、月々払いでも皆様の都合の良い方法で結構だという内容になっている。

 まさにこの精神なのである。公共工事でも民間工事でもある期間そこに現場を張ることになれば、現場経費や人件費は当然かかるのである。それを少しでもこうしたアイディアで経費や人件費を節減できるのではないかという発想が大事なのである。こうした地道な努力で会社は救われるのである。この会社がこの現場でどれだけの成果を上げたかはまだ取材不足だが、必ずや21世紀に勝ち抜ける会社であると信じている。「そんなことまでして・・」「あいつのところはそんなに厳しいのか?」という凝視的な眼で見るあなたなら、あなたこそ21世紀には勝ち残れない組として取り残されるでしよう。

  時代は縦割りでも横並びでもない。まして組織に委ねるものでもない。勝ち残るのはただひとつ。自らの会社を自ら守るという地道な努力しか今はない。  (2001.8)