さらば!「こうすっぺ」社長様

            主幹 富田正廣


 「普通の経営者は社員に向かってこう言うんだってよ。『皆さん!こうした時代だから、一丸となって頑張って下さい!』って。だが社員は『皆さん?って俺でないよな。』と思って周りを見渡すんだってよ」とある会合での話しを聞かせてくれた友人の社長。「結局は言った本人も聞いた社員も当事者意識が全くないと言うんだよ。『皆さん!頑張りましょう!』何て平気で言えるような社長では、この時期は乗り切れる訳がないと言う話しだよ。『あなたが頑張らなくて誰が頑張るんですか!』とひとり一人にはっきりとモノが言える経営者でなければこれからはダメだということだよ」と。
 もうひとつ誰にでも思い当たるような話しが出た。ある宴会で盛り上がってきたところで上司が部下に向かって「おい!酒、ジャンジャン持って来いよ!」といって浴びるほど飲んで騒いだ。宴も終盤を迎え上司はこう言った。「二次会は俺の部屋でやるぞ!」と言って我が部屋へ。冷蔵庫の酒類を見ながらこの上司が一言。「何だってここの酒は高いなー。おい!コンビニに行って酒買って来いよ!」と部下に言った。「たった600円のビールが高くてよ、会社の宴会の酒は高くないのかよ」と部下がぼやいたという落語のような話しだが、これも当事者意識がないという話しだ。
 つまりこの上司にとって宴会の酒代は「遠い金」で、自腹を切る酒代は「近い金」なのだ。「皆さん!頑張って下さい!」と言った社長には経営は「他人事」で、「あなたが、頑張って下さい!」と言える社長は「自分事」なのだ。これも当事者意識の問題なのだ。

 バブル期から一昨年当たりまで「今年は皆さん、こうすっぺ!」何んて、いつものような訓辞を繰り返してきたサラリーマン社長や二代目社長でも何とかこれまでの時代は乗り越えられた。社内で「何もしない。何もできない。何も言えない。」無い無いづくしの社長ほど、活動の場を社外に求める傾向なのだ。社会的肩書きを欲しがり、名誉職に立候補したり、著名人の仲間入りしたくて自己アピールに奔走したりだ。こんな人間ほど自らの会社が指名停止になっても、汚職の片棒を担いでも、社会福祉貢献やら県○△賞をもらったり、建築の「け」も理解してないのに審査員に加わるなど何のためらいもないものだ。そんな経営者にはとかく「猫撫で声」で近かづく部下がいる。宴会の上司のような人間だ。当事者意識のない経営者、社員ほど「責任の取り方」を知らない。 
 有能な人間はそんな経営者や上司にサッサと見切りをつけるべきだ。こんな時代だからこそ「こうすっぺ!」ではなく「こうなっぺ!」とはっきりとモノが言える経営者に出会うべきだ。辞表にはこう書く。さらば!こうすっぺ」社長様。(2002.6.30)