滝谷建設「再生法」申請に思う

            主幹 富田正廣


 「まさか!」と言うより「やっばり・・・」と思わざるを得ない今回の滝谷建設工業の民事再生法申請である。年も押し迫った昨年末に「危ないぞ」という話しはすでに流れていた。郡山市内の取引業者Aさんが暮れも押し迫った12月27日、「会津若松の事務所に行ってきた」と聞いてから10ヶ月目のことになった。
郡山市のk社の倒産やF社の業績不振と、相次ぐ取り引き業者のあおりを受けてから、その噂は今年に入っても消えることははなかった。本宮町のゴルフ場開発やニュータウン建設への投融資は仇となったが、会津地方の公共工事の落ち込みはそれ以上に追い打ちをかけたと言えるだろう。東北ナンバーワンの盛岡市にある高弥建設が倒産した「あの日」を思い起こすシーンの朝であった。

  公共事業が基幹産業である会津地方にとって、公共事業の削減、減少、縮小といずれの言葉も死活問題である。毎年のようにその市町村を代表する建設業者が姿を消していく実態に対し、「建設業者が多いから減るのは結構だ」ということだけでは済まされない。町や村によっては、建設会社は唯一の「就職先」という所も多いのだ。家族に建設業に何らかの係わりを持つ人は必ずいると言っても良いのが会津地方である。
「地域に建設業は不可欠な産業」だと言うことを国や県はもっと認識し、その対策には真剣に取り組まなくてはならない。また町も村も建設業に係わる町民、村民の人口が多いことを知りながらも、国や県の政策に歩調をただ合わせるような首長では町や村は全滅する。地元と大手業者を同じ土俵に上げて中央省庁が騒ぐ「談合」や「入札改革」問題にも、町や村が独自の手法で地元業者が最も仕事を取りやすい、しやすい方法を模索することも首長の仕事なのだ。

 建設業はいま「優良企業だ」「ISO取得企業だ」「Sランクだ」などということは何の意味もない。100億円企業であろうと5億円企業であろうと“将来に夢と希望のある会社”以外に建設業で生きる道はない。滝谷建設同様に昨年末に噂に上がった会社も優良企業だが、仕事はすでにナリだけで取れる時代ではない。
  数年前、滝谷建設の目黒和夫前社長にインタビューした。「地元の人間を『リストラだ』とすぐに首にすることはできない。そのためにもコンビニを経営して余剰な人間をそちらに回すことにした」と聞いて社員を大切にする社長という印象を持った。結局はそうした「親ごころ」が企業を追い込む“足かせ”になったのだろうか。(社)県建設業協会長の職を辞してもなお苦悩は続くであろうが、一日も早い正常化を期待する。
                              ( 2003.10.7)