「赤い絨毯」を踏ませたかった“男”

            主幹 富田正廣


勝負とはこのようなもの。それを思う存分、個人の立場で味わった今回の衆議院議員選挙。選管の不手際から午後11時を回っても当確がはっきりしない福島一区。終始リードした亀岡偉民候補が佐藤剛男候補に敗北を認めたのはすでに午後12時を回った。事務所の民間テレビでは、亀岡氏が終始リードを保ち、開票率86%の段階でも3000票差をつけ、亀岡陣営は一挙に“当選ムード”で盛り上がっていた。それも束の間、同局からが突然、佐藤候補の『当確』が流れると、それまでの当選ムードは一変した。事務所内はだれからともなく、「え〜、何で!」「選管に電話しろよ!」「NHKに回せよ!」という支持者らの声は苛立ちと悲鳴に変わった。選管のミスもあったが、とうとう1942票の差は最後まで変わることはなかった。事務所には、いつまでも諦めきれない支持者で溢れていた。
(当選ムードが一変した瞬間の支持者ら)

 間もなく、亀岡候補が沈痛な表情で事務所に姿を見せると、支持者からはねぎらいの声がかかった。中には泣き崩れる女性、目頭を押さえる男性、すすり泣く女性たちに向かった亀岡候補は「今回は何としても勝ちたかった。だが、これだけの票を入れてくれた支持者に感謝したい。これからも、バッチを付けてなくても皆さんのお役に立っていきたい」と毅然とマイクを握った。いつまでも「もう一度頑張ります」という声は聞こえなかった。「皆さん、これからも亀岡と長くお付き合いください」とあいさつするのが精一杯の様子だ。すでに時刻は深夜、帰途に向かう支持者らひとり一人と握手する亀岡候補の姿が少しばかり小さく見えた。

 現職の強み、組織力の強み、肩書きの強み、重複立候補の強みと「強み」が上積みした佐藤候補。要するに「看板、カバン、地盤」という選挙の“三種の神器”が最終的にはモノをいった。「看板、カバン、地盤」に一歩及ばなかった。だが、「票には負けたが、選挙では絶対勝ったよ!]という支持者の声は、前回から3万票を上積みした投票結果が証明している。「一度は赤い絨毯を踏ませてやりたい」という支持者らの願いは今回も叶わなかった。(深夜まで握手を交わす亀岡氏)

 亀岡氏が5度目の挑戦を決意するかどうかは、時間を待つ以外にない。後からは石原信一郎候補が確実に追い上げてくるだろうし、次の選挙には新人が出馬するかも知れない。だが、この選挙で言えることは、「チャンスは手の届くところにきた」ということだろう。ここまで票を上積みしたということは、現職には「スキ」があったという結果でもある。時代は確実に政党本意から個人本意に、要職・肩書きの人より実践・実行の人に、国民はめざめた現実がある。勝敗は時の運、誰にでもチャンスはある。“夢は追い続けてこそ、掴める現実がある”あなたには、まだまだやれる「若さ」と「行動力」がある。国会はこれからより一層、人間的な魅力を持った「あなた」のような若者を求めていくのではないのだろうか。 (2003・11・10)