やっと来た!産学官一体の新事業創出時代。

            主幹 富田正廣


 福島県は2月3日に16年度当初予算を発表した。15年度を約300億円下回る9096億円となり前年度2.9%下回った。借金は・兆2000億円と過去最高となり普通の家庭では生活が成り立たないところまで来ている。お父さんの“稼ぎ”より借金の方が多くてがあり4人家族なら一家で228万円(一人あたり57万円の借金を抱える)の借金を背負っていることになる。年々所得が減収になるお父さんの稼ぎでは、生活もままならない。そこで、みんなで何かを創って、少しでも家庭にお金を入れて欲しいといことになるのだろう。
 そこで建設業関連会社を営む長男が注目したのは、「重点推進分野の主な事業」のうちの、『個性豊かな地域づくりの推進』という項目だ。わずか228万円と小粒な予算配分だが、ここに注目しない手はない。早速、自社で進める新規事業を抱えて県の窓口へと出向いた。

 応対したのが、土木部土木総務領域建設行政グループの和田豊主任主査である。和田主任は「公共事業の削減や減少などから、建設業者を側面から支える必要があるということで、今年から「建設業新分野進出等支援事業」として予算化され、土木部としても建設業者を支援するために、あらゆる情報を提供し創業支援することになったと言うことである。4月か5月頃には具体的になる」と語り、新分野で実績のある企業から情報を収集しているとのことだ。
 すでに予算概要説明の中でも、「(前文略)さらに「コラッセふくしま」のインキュベート施設などを活用して、I T 分野だけでなく、環境、福祉、教育など幅広い分野での創業支援を行うとともに、知的クラスター形成事業を通じて、県内の大学や試験研究機関との産学官連携による新事業創出の強化を図る」と唱っている。

 県は土木部だけではない。農林水産部森林林業領域県産材特産グループもまたしかりである。飯沼隆宏主任主査もまた同様で『うつくしま炭の里づくり』構想をめざしている。当建設メディア1月25日更新号でも取り上げたが現在、同グループでは、循環型社会の実現と中山間地域の振興を図る目的から、地産地消を基本に良質な炭を生産し需要者に信頼される商品を供給する産地づくりを立ち上げるために、グループホームページ上で「福島県炭振興基本方針(案)」の作成に取り組んでいる。これも林業生産者の新事業創出の一環なのである。

 先にも述べた『個性豊かな地域づくりの推進』は「新年度の重点推進分野の主な事業」のひとつとして立派に位置づけられた。その中で最も建設業界が積極的に取り組まなくてはならないのが「県内の大学や試験研究機関との産学官連携による新事業創出の強化を図る」ことである。福島県には郡山市に日本大学工学部、会津若松市に会津大学、福島市に福島大学があるが、各大学の教授やコーディネーターが異口同音に、「建設業者はなぜ、積極的に大学に足を向けないのか」という一言である。福島大学は今年10月から理工科系の教授・産学連携コーディネータなど50人を増員する。大学も株式会社化で産学の関係をさらに強化し大学の存続を賭けるのである。日本大学工学部も同様に産学共同の研究開発に余念がない。すでに日本大学は民間と共同で「雨水ろ過長期保水システム」を開発し、全国展開を模索する。このシステムは今年増築する校舎棟にも設置が決まった。民間は郡山市の藤島建設の藤島寿氏とそのグループである。また福島大学とは福島市の青柳工業が共同研究で進めた食品工場をまるごと受注した例もある。さらに県外の大学と炭の研究を繰りかえす建設業関連の会社も郡山市にある。炭を建築材に加工する取り組みや家畜肥料を建築ブロックにする取り組みもある。家畜肥料を建築材に 建設業の活力を農業に、林業に、そして福祉などに生かす時代が来た。喜多方市の「アグリ特区」、(社)県建設業協会の「介護分野進出」もその一つだ。

 福島大学の理学博士八代勉氏は、「自己宣伝だけではダメ。安心と安全は信用と信頼が根底にある。企業は公共性のあるものほど、大学との連携を強化すべきである。さらに事業化には戦略と演出も大事な要素」とアドバイスする。ある程度までは企業独自の努力で目標は達成する。だが次の一手が打てない。それを打破するには大学の力が必要であり、さらに官が規制と制約の垣根を取り払わなければ、一歩も前には進めない。循環社会の形成の実現には産学官の連携に他ならない。そこからホンモノの新事業創出が始まる。県はこれまでの不況という鬼を追い払い、好景気というを福を招く予算案を組んだと信じたい。節分の日に予算のバラまきはゴメンだ。(2004.2.9)