福島のマチが「街」であった時代に期待

            主幹 富田正廣


「中国で易姓革命の思想から、天子がその位を世襲によらず、徳のある者に譲ること」、「天子が位を譲ること」「譲位」という意味の『禅譲』の掟を破って、福島商工会議所会頭選に打って出た佐藤勝三氏が大差で当選した。すでに福島県の顔である福島駅前周辺の活気のなさは誰もが認め実感していたことだ。佐藤氏にとって「会頭職」はボランティアや名誉職でやるモノでもなければ、「権力の座を話し合いによって他に譲り渡すこと」でもなかった。
 これまでの慣例を破り「やりたい者がヤル」言い換えれば「俺がヤル!」という根性と信念を持つ人間がやればよいということを自ら実行したという点では、これからの県内ばかりか全国の商工会議所の会頭選に与えた影響の大きさは、衰退する「都市の再生」「地域の活性化」に一歩近づいたとも言える。
 「マチは誰のモノか」を考えるとき、一部の要職にある人間のモノでもなければ、ひとり勝ちする大店舗のモノでもない。マチは地域に住むすべての人々が共有する財産なのだということである。福島のマチが「街」であった昭和30年代から40年代の“古き良き時代”を青春期に生きた年代にとっては、「パセオ通り」は「スズラン通り」の賑わいに、いまの「仲見世」は当時の「飲み屋の仲見世」の活気に、福島稲荷神社のある大町や上町は装飾品店や喫茶店・レストランが建ち並んだ賑やかさと活気溢れる街に「再生」することが市民共有の財産と言えるだろう。
 佐藤氏は、「仙台から千人の若者を呼び戻す」ことを第一の目標として「まちの活性化」に取り組もうとしている。大方の予想どおり問題は山積みではあるが、若者が魅力あるまちづくりにするには若者の発想を生かされなければ再生はあり得ない。若者がカップルで、独り歩きが家族で、社員は会社でこぞって来てこそ、誰もが求める楽しさを味わえる『街』になってこそ、まちづくりは本当に「成功した」のである。
 建設業者は公共事業削減の中で、もがき苦しんでいる。建設業界から経済界のトップに躍り出た佐藤氏に期待するものはもうひとつある。建設業者につきまとうダーティーなイメージの払拭と市民との対話である。オブラードに包まれた業界からの脱却が建設業にとって本当の再生が始まる気がする。佐藤氏は佐藤工業の顔はもちろん、建設業界から全産業界の顔として精力的に動き出す。さあ!後は「瀬戸行政」が本気で「マチの活性化」のカタチを示すことだ。(04.11.3)

 

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