ISO取得、こんなはずでは!

            主幹 富田正廣


 常磐興産PC事業本部、滝谷建設工業、西部建設、小野建設 、土田建設工業、東北設備工業、山一緑化土木、渡部工務所、鈴宏建設、五徳測量設計事務所、東北工業所、池添電設、東北建設、林興業、大一建設、大正工業、高田工業、秀和建設、齊藤組といった会社名を羅列した訳をご存じの読者がいるとすれば、それはすでに「不満と不信を」募らせていると言っても過言ではない。実はこれらの企業は現在、財団法人日本適合性認定協会と審査登録機関とでまとめた「ISO9001s」の審査登録を受けた後、産業分類の《28:建設》から消えていた企業である。
 もう少し詳しく言えば、当社が平成15年2月18日現在で、建設メディア上に掲載した際の取得企業は179社だったが、平成16年12月22日に調べたところ取得企業の数は234社に増えていた。この間に建設メディアに掲載した登録業者が、消えていたのが上記の19社だったということである。そこには倒産・廃業などの企業も含まれているが、現在も経営を続行している企業には何かの理由があってのことになるが、1年10ヶ月のうちに10.6%が消えたのである。平成15年2月18日以降をもっと調べれば、比率で約21.5社が登録から消えていることになる。数の上からも確実にISOを取得する企業は増えている反面、取得後に不満や不信を募らせている企業の多さに驚いているのだ。確かにISO取得は「企業体質の改善」や「将来の商業取引には欠かせないもの」であることを全面に打ち出している。だが、その多くは建設省時代から国土交通省が唱えている「入札の必須条件」を目的として取得に奔走したのが本筋である。
 だがいまどうだろう。国土交通省の入札にはISOの取得が条件となっているが、それもほんの一部であり、県や市町村に至っては皆無といってもおかしくない。業者にとって「こんなはずでは!」なのである。「審査登録機関の維持・更新・切換審査等にかかる費用や審査員の出張旅費や日当なども法外で、ISOもやめようかと本気で考えている」という郡山市内の土木業者もすでに取得して3年が経った。もちろん更新審査も終わってのことだが、出張した来た審査機関の審査員に応対したこの会社の部長は審査員との間でこんなやり取りがあったと言う。「いつになったら、我々のような地元業者にISOの恩恵(入札参加)があるのですかね」と質したところ、「そのうち、だんだんありますよ」と言って、ハッキリとした答えはなく、いつかの質問にものらりくらりと答えたるだけだという。

 要するにこの審査員も今後のISOの行方も分からないし、国土交通省が県や市町村に示す方針もハッキリとしないのが現実なのだ。県の出先の所長クラスでさえ、「会社の体質改善を目的に取ったのでしょう?」とお決まりの答えが返るだけである。あんなに取得勧誘に熱心だったコンサルタントもいまでは、「建設業の新分野進出」などのコンサルに切り換えているのですから。すでにISO取得の大波も去り、残ったのは「如何にして維持するか」という難問題が突きつけられただけ。国も県もISO取得業者にその答えを出すことはもちろんだが、業者もいつまでも国土交通省の“天下り先”のような無数の審査登録機関と“のらりくらり審査員”を食わせておけるような時代ではない。忘れている関係機関にハッキリと宣言する。「ISOは入札の差別化の第一歩である」ことを。(04.12.22)

 

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