“建築と音楽”が取り持つ施設とは?

            主幹 富田正廣


 15日に(社)福島県建築士会須賀川支部女性委員会が中心となって、須賀川市産業会館で開いた“音楽療法セミナー”は「建築士の本来のあり方と役割」をあらためて問う企画として注目したい。「建築と音楽」が現代社会を取り巻く心と体のケアにこれほどまでに密接な関係にあるとは想像もしなかった。会場には女性を中心に若い人からお年寄りまで約100人が参加し、医学療法士の資格をもつ近藤美智子さんの軽快な語りと歌とダンス、そして笑いと涙の2時間は参加者を大いに満足させるモノだった。音楽療法の定義や意義は関連のホームページにアクセスして理解願うとして、「ここに本来の建築士が考えなければならない原点があるのではないか」と思えたほどだ。この企画を親会として、バックアップした同須賀川支部の土田信雄支部長は、「これからは建物というハード面だけでなく、心の健康、心のケアを考えるソフト面を設計に生かしていく必要があります。心の傷や病を癒す家づくり、施設づくりをめざすとき、避けては通れない重要な課題です。最近は、どんな建物も体裁やデザインを重視過ぎて、本来の家づくりの原点が忘れられているのではないか」と会場で話したことが印象的だ。
 土田支部長の土田建築設計事務所では、福祉に関する施設の設計が増えてきたことがきっかけとなって、「音楽療法の世界」に出会った。また、医学療法士の近藤さんもセミナーの中で「老人福祉施設、身障者施設、知的障害者更生施設、市町村保健センターなどで音楽療法ができる施設が増えてきましたが、中には先生や看護士さんから『周りの迷惑になりますから、音を低くしてください』と迷惑がる病院や施設がまだまだ多いのです。そうした病院や施設には理解を求めていくほかありません」と参加者に訴えた。
 「家や施設は本来、人間の心を癒す場所であるはず。原点に立ち返って、設計士は先人の知恵を学ぶべきですね」と話す土田さん。“設計と音楽”が結ぶ縁はこれからまだまだ深まりそうだ。(05.1.19)

■日本音楽療法学会

http://www.jmta.jp/

 

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