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主幹 富田正廣

どうなる?人へのやさしさ。

 「もう呆れてモノも言えない」と言うのは、このようなことなのだろう。中央を舞台に起こった「耐震強度偽装問題」、それが形を変え福島市まで飛び火してきた。市民の代弁者でもあり、指導する立場でもある行政マンが、最も市民に身近なところの県の条例や法律に対し、これほど「無頓着」でいられるのかと思うと開いた口がふさがらない。福島県は平成7年3月に「人にやさしいまちづくり条例」 を制定し、これまでにいくつも公益的施設に対し「やさしさマーク」を交付してきた。公の施設が高齢者や障害者等に対し、利用の配慮や便宜性に優れている施設に「交付」することで、人にやさしい施設の整備を図ってきた。県の公共施設だけではなく、民間の施設に対しても積極的に交付してきた。
写真は2月1日付の福島民報
  かつては、県有施設である二本松市にある『男女共生センター』でさえ、「やさしさマーク」の交付が見送られた経緯がある。玄関入口の段差や手摺り、さらに階段の露出など高齢者や障害者、特に視覚障害者にはまったく優しくない施設である。トイレや電話、施設案内といったごく普通の「案内板」が隠されたように小さい表示である。もっと呆れたのは廊下から次の施設(部屋)に入るのに“観音開き”のドアには驚いた。車イスからのドアの開け閉めは問題となった。さらに、施設のメーンである正面入口が北向きで、雪の日は登り口の玄関まで車で行くのにも容易ではない。これが大手の設計事務所が設計した“優れた建築作品”なのである。なんとか多くの手直しをして、当たり前の「やさしさマーク」が交付されたのは、手直し後しばらく経ってからのことだ。構造や機能より“デザイン重視”の建物が“優れた建物”として評価された例である。
 それ以来の驚きが、「今回の違反は、車で60キロの所を67キロでスピード違反したようなもの」とふざけた発言をした東横イン社長の記者会見である。「見つかっちゃったか」と言わんばかりの軽い会見である。こんな人間がホテルを運営したり、ホテルやマンションを建築したりしているのかと思うとオチオチ夜も眠ってもいられない。こうした「金儲け」第一主義の人間がやることに「安全・安心」、「人へのやさしさ」など、どうでもいいことなのだ。それを見逃す行政の責任はもっと重い。「市民に役立つ仕事、市民の役立つ所」である市役所職員ばかりか、ますますサラリーマン化してきた公務員の実態。建築変更の確認を降ろして「初歩的ミス」だとするなら、これまでも多くのミスを見逃してきたとは言えないか。すでに建築設計士、確認検査機関、建築業界が市民の信頼をトコトン裏切った。ここに来て、ホテルやマンションオーナーの利益至上主義、国や自治体の行政怠慢、国民、市民は何を信じたらいいのか。まったく「いい加減にしてよ!」と嘆く市民の声、国民の声が聞こえそうだ。(06.2.1)《写真は2月1日付の福島民報》


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