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主幹 富田正廣

観光客は温泉に何を求めて来るのか

 先日、ある生保会社が主催する黒岩祐治氏の講演会「どうする日本!」を聴いた。テレビ番組「報道2001」のメーンキャスターとして活躍するだけあって、歯切れの良い語りと政財界の裏話しに会場を大いに沸かせた。その黒岩氏、
「どうなる日本!」の演題に目をやるとつかさず、「これからは“どうする日本!”として考える時代だ」と自らの日本再生の考えを披露した。特に、中国の“反日”にいかに向き合って、近隣国と付き合っていくか。また、「アメリカに属国化した日本」に対し、アジアの人々は、戦後復興を果たした日本とは違い、いまの日本に魅力を感じてはいないというのである。自らの著書である「日本を再生するマグネット国家論」を引き合いに、マグネット国家・日本をめざすシナリオ、さらに福島もそうだが、地域の磁力再生法やマグネット文化について、これからの日本再生のための提言を熱く語った。

 特に興味をひいたのは、かつては地図にもない温泉を磁力ある温泉郷に再生した 熊本県・黒川温泉のドンこと、後藤哲也さんの話しであった。「観光客は温泉に何を求めて来るのか」を徹底追及し一躍、湯布院と肩を並べるほど人気のある温泉地に再生した話しである。自らも黒川で2軒の宿を営み、国土交通省からは「観光カリスマ」に選ばれたほどの人物である。 なぜ、こんなにも人々は秘境といわれるほどの温泉地に足を踏み入れるのか。それは誰もが“心の安らぎ”を求めてやってくる。「電車もない、車もやっとの秘境なら、着いたときの感動もたまらないだろう」と黒岩氏。「また、行ってみたい温泉」ならリピーターも増えるし、行った人は他人に話したくなる。それがまたリピーターを呼び、結局は有名な温泉地となる。それを黒岩氏は「磁力ある再生」と語った。結局は、自分側の目線でモノを考えるのではなく、来てくれる側の立場でモノを考えれば、自ずと道は開けるということだろう。経営者は温泉組合が悪い、政府が悪いと言って、人のせいにばかりしていたのでは「再生」はあり得ないという。

 かつては、東北でも有数の温泉地だった飯坂温泉を福島市はいま、“もてなしとくつろぎの温泉郷”として再生計画を始めた。栄華を誇った巨大ホテルや老舗旅館も、いまや空きホテル、空き旅館となり、温泉のイメージ、景観に大きな影響を与えている。どんなに国や市が再生計画に力を入れようと、ホテル・旅館経営者が、「なんとしても“磁力ある温泉郷”に変えるのだ」という意識改革が起こらない限り再生の道のりは遠い。黒岩氏が提唱する「マグネット国家」論や「地域の磁力再生」の道は、「国民が『どうなる日本』という外野席の応援団ではなく、『どうする日本』というプレーヤー意識から始めなくてはならない」ということに通じる。飯坂温泉の再生もまずは、「そこからー」である。(06.6.7)

黒岩祐治氏プロフィール 
日本を再生するマグネット国家論
黒川温泉
飯坂町地域再生計画



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