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主幹 富田正廣

「談合」と「受注調整」の線引き

 「これは談合だ!」、「いや、受注調整だ!」と、東京地検特捜部を舞台に日本全国で過去何十年、何百回、何千回繰り広げられたか分からない押問答。何が談合で、何が受注調整なのかが、国民にはまったく理解されていない。むろん当の建設業界も明快な答えを持っているとは思えない。また、調べる側も一方的に「談合」と決めつけている節があるのではないか。ここが建設業界を知るものの腑に落ちないところでもある。逮捕された佐藤工業の佐藤勝三会長も「これは、受注調整だ!」と主張している。同社元専務も東京のテレビインタビューで「検事さんは『談合』と言うが、私は『調整』と言っている」という重要な発言をしている。
 12日、福島県建設産業団体連合会の会長職務代理者となった三瓶英才県建設業協会会長は地元新聞のインタビューで、「10年や20年前には、いろいろな“調整”があったことについては是正されている。今は、営業に携わる者同士が日ごろ仕事の話を交わす中で企業の実績、地域性などの話題に触れることはある」と発言をしている。さらに、「業界ぐるみで公共工事の受注調整をすることはないか」の質問には、「県産連、あるいは私が会長を務める県建設業協会としては、そのようなことは一切ない」と断言している。
 ならば、佐藤勝三会長や佐藤工業元専務が「談合ではない。受注調整だ!」と身体を張って東京地検特捜部と対峙している姿とはどう違うのか。「受注調整はないのだから、談合はあり得ない」ということにはならないのか。発言に内部でさえ、こうした温度差がある以上、これから先何十年も、同じ事が繰りかえされる土壌は十分にあるというほかない。業界として東京地検特捜部に対し、「談合成立となる経緯」を求めることや「受注調整の正当性」についての“お墨付き”を戴くことは、建設業者を束ねる組織団体としては当然のことだ。「談合」と「受注調整」の違いについて、明快な答えを示さない国、それに対し何の対策も打ち出さない県の対応も呆れるが、こうした非常時こそ、建設業界の“護送船団”である県産連は、怒りをあらわに国や県に抗議すべきである。その長が「県民の信頼回復と高品質の工事に務め皆さんのよい暮らしを提供する」と話しても、素直には受け入れられまい。市民の失った信頼を回復するには、これまでのような生温い「程度」の処理では済まされない。全国から「談合王国」のレッテルを貼られた福島県は、東京地検特捜部の捜査で、佐藤知事の跡元も毎日揺さぶられているのだ。(06.9.13)



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