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“広域合併”で得る本業の“美味しさ”
主幹 富田正廣


 福島民報8月5日付け一面トップに「10月めどに広域合併」と5段見出しの文字が踊った。ライバル福島民友新聞には1行も見あたらなかった。業界紙もしかりである。民報の久々の建設業界スクープ記事となり、その日に“広域合併”を果たした秋田蒲生工業(田村市)と酒井建設工業(会津若松市)の両社長が郡山市で合併に調印した。2006年2月14日の秋田組と蒲生工業の最初の合併も民報の見事なスクープだった。



〔写真は福島民報8月5日・6日付記事〕

  当日の記事には「広域合併」の文字のほか、「農業や新エネルギーへの分野参入」の副見出しが付いた。農業分野ではワサビ、シイタケ栽培、新エネルギー分野では太陽光・風力発電の事業化、そして本業では内装リフォームを手掛け10年後には90億円程度の売り上げを目指して新分野での比率を10%まで高めるとあった。まさにこれが実現したら、建設業界のお手本となる大型企業の誕生である。

 当メディアは、秋田組と蒲生工業の合併の際、「合併はエリア、売上、人」というコラムを掲載した。その中で“新生・秋田蒲生工業に、いま死角があるとすれば、1つ、国盗りをするにはあまりにもエリアが狭いこと。2つ、完工高35億円が抱える目標50億円到達への険しさ。3つ、100人前後となる役員・社員の数が何年で売上高に匹敵する数に収まるかである。”と書いた。この2年半の月日に果たせたものはいくつあるのかー、それによって今回の合併の先が読めそうである。

 福島県はいま、建設業者に新分野進出への参入を促す政策を施している。これまでに建設業新分野進出認定企業として、7月31日までに43社を認定した。酒井建設工業は「郷土料理を提供する飲食店の経営〜(株)一會庵による地元食材を使用した料理を提供〜で7月31日に認定を受けていた。残念だが秋田蒲生工業は認定企業に入っていないが、新分野を模索する今回の合併では、共有できそうな分野である。

 そもそも新分野に参入することは「建設業から少しずつ退場してください」という宣告を受けているようなモノである。公共事業はピーク時の半分以下になっているというのに建設業者はまだまだ減ってはいない。福島県建設業協会の会員もピーク時は440社前後いたのだが、現在は280社を切り約30%の会員が同会メンバーから退場した。現在も続々と新分野進出企業をめざす会社は後を絶たない。県もさらに認定企業を増やす方向だが、広域合併を果たした両社も多くの新分野事業を目指す方針だが、どれをとっても難しい経営が待ち受けている気がする。

 勝手な言い分で恐縮だが、公共工事を請ける上で最も大きいなメリットは地域の拡大、即ち広域に跨って仕事をすることである。その“メリット”をいま手にした両社は、徹底して本業の建設業に“はまる”ことではないだろうか。県内だけでなく県外をめざし、そして全国でも通用する独自の提案と技術向上をめざすべきである。建設業に片足を浸けながら、一方で二毛作をやるような業者が増える中、徹底抗戦で建設業を勝ち抜いていく会社があってもいいはずだ。県が差し出す“甘い汁”を散々舐めてきてこうした時代になったのに、また舐めたいというのは虫が良すぎる。 この際“広域合併”で得る本業の“美味しさ”を追求したら、もっと先が見えそうである。(08.8.6)

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