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敢えて50億円の危険な壁を超えて・・
福島市新庁舎建設東棟の建設で思うこと(6)
主幹 富田正廣


 福島市の新庁舎建設東棟の入札が15日、午後1時30分から始まった。入札会場正面の[会場での私語は禁止します]という張り紙が余計、参加した関係者40人をピリピリとした雰囲気に包んでいた。定刻通りに入札担当者の「それでは、新庁舎建設東棟の入札を始めます!」という一声で4部門の入札が始まった。



  まず建築主体工事の入札が行われ、参加した7つの特定建設共同企業体が次々と名前が読み上げられ、入札書を提出して正面の長いすに座る。トップは大成・本多JV、そして銭高・会津JV、戸田・古俣JV、清水・晃JV、奥村・大木JVと続き、注目の鹿島・菅野JV、そして佐藤・安藤・大丸JVが提出した。担当者が7JVすべての入札金額を読み上げた。44億3800万円で札入れした銭高・会津JVは失格基準価格を下回り失格となり、最低制限価格の46億5000万円で札入れした鹿島・菅野JVが予想通りの落札者となった。対抗馬として注目された佐藤・安藤・大丸JVは1億5490万円及ばない48億0940万円で札入れした。
 
  この時点で、“地元優先”の夢は消えた。退場する7JVの担当者の中に佐藤工業の加藤社長の顔は無念さでいっぱいだった。8月27日の公告以来、今日まで “針の筵”とも言える日々を如何に過ごしてきたかと思うと察するものがある。入札書で百万単位まで絞ってきたのは、地元唯一の佐藤・安藤・大丸JV だけである。その努力に叶うことはなかった。地域の活性化には繋がらなかったが、2年後となる西棟(議会棟)建設工事に期待をかけるほかはあるまい。

 それにしても大手組は、52億円台から44億台と8億円台の開きで見積もってきた。ちようど、佐藤JVを包囲するかのような提示金額だった。当初、50億円を切るようなら、地元では難しいとも言われたが、敢えて佐藤JVは50億円の危険な壁を超えて挑んだが、鹿島JVは驚異の46億円台で提示した。失格となった銭高JVはまさに大手の先鋒隊のような44億円台を提示した。まさに先鋒の役割を忠実に果たしたかのような金額である。そうなると鹿島JVが提示した46億5000万円はギリギリもしくはピッタリと言うほかない。

 ここに大手の力強さと言うべきか、情報網の確かさ、勘の良さと認めるほかない。大手は談合から決別した現在、不正な入札などあり得ない。唯一の地元特定JVとして大手組に挑んだ佐藤JVに暖かな拍手を送るほかない。

 ちなみに、電気設備は再入札で大槻・高橋・広栄JVが12億1000万円(一回目12億3000万円)で落札した。もう一つの須南・北藤・佐藤JVは15億2000万円で一回目を提示したが再入札では辞退した。給排水衛生設備も再入札で第一温調・光和・コバックスJVが6億7000万円で落札した。空調設備も再入札で文化・倉島・高橋JVが15億5000万円で落札した。こちらはすべて地元企業体のみの提出となり、文字通り地元の活性化へ弾みを付けた形となった。

 建築主体と3設備で、地元の“明暗”を分けた今回の入札。言えることは本当の意味で“地元優先発注”となったのかと言うことだ。そしてその地元優先を唱えた地元にも当初から足の乱れが生じていたことだ。その陰には、それぞれの思惑、これまでの経緯が見え隠れしている。地元として、新庁舎建設に挑む力量があるのは誰だと問われれば、「佐藤工業と菅野建設ぐらいかな?」としか言えそうにない。両雄が袂を分かって、それぞれの企業体の道を選んだのは、本当に地元の企業として正しい選択であったのかは、この先の課題であろう。(08.10.16)

福島市新庁舎建設東棟入札経緯と結果(会員のみ)




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