ISO取得は、目的か手段か。

1999.9


 会津土建や佐藤工業、泉電設そして建設メディア「MEDIA」が主催したISOセミナーを機会に取得した会津工建社などに続けと、県内のは業者はこれまでにないISO取得に燃える。これまでに多くのセミナーを開催した本誌にも取得の意思表示をした会社は多く、どの企業からも「地域ナンバーワンをめざしたい」との相談も多く、企業訪問をするなど取得支援を惜しまないし、我々は時代の流れにあったセミナーを開き、企業へ情報を提供するのが役目だと自負する。
 だが、多くの企業は取得を入札の“手段”にするだけで、まだ社内体制などが整備されないままスタートするケースが多く、逆にISOが将来、会社を潰すことになりかねない。

 取得には“他人は他人”という考え方も経営者になくてはならない。“猫も杓子も”と言うと語弊があるが、その会社にはその会社の“今が句”があるはずだ。確かに建設省は、今年10月をメドに具体的な導入方法を決め12年4月がらの導人に備えての準備に入ることを既に通達した。だが、ISO9000sに従った施行体制は求めるものの、認証取得を直接の案件にすることは当分ないと判断する。
 だが、いずれ取得企業が多くなれば「ないとは言い切れない」。すでに静岡県では、県建設業協会や県、建設省の支援を得て「静岡県建設業ISO協議会」なるものを20数社で結成した。今ある県建設業協会の一部会員や会員外の特化した組織に成長していくことは避けられないだろう。これも差別化と篩い{ふるい)にかける手段だと言えば、「そうではない」とは誰も断言できないが、今こそISOを取得するための原点に立ち返らなければならない。

  「何のためにISOを取得するか」ということである。一つここに缶ジユースがあるとする。できたこの缶ジユースは製品として認めるかを決めるのがJIS規格である。それに対しどのような手順で造ったか、その工程をきちんとマニュアルで示されているかがISOなのである。一言わば造るための手順書なのだ。建物や河川工事がどのような手順で造られたか、マニュアル通りに“なされたかどうか”というものなのである。 そのマニュアルは常に審査され半永久的に続くのである。取得にはどうしても経営者の堅い決意と社員のやる気が合体しなくては成功しない。花見や社員旅行で双方が“盛り上がる”のとは訳が違う。始まったら後へは引けないし長丁場である。それだけに全員の一致団結が原則である。
 技術士でありISO認証取得審査員である鈴木清氏(鈴木清枝術士事務所・須賀川)は「責任と権限が要求され、中小企業にとってはメリットの多い制度。だが経営者の頭の切り替えが必要だ」と指摘する。そこに「手段ではない真の目的」が多く隠されているからだ。ISOを取得する過程でムダなどが指摘され、経営の体質が改善される。さらに社員の意識が向上し認識が高まり、外部の見方も変わり、大手の注文や見学なども増え、企業体質が変化する。
 最大の効果は「企業としての体質の見直しとポリシーを持つことにある」と鈴木氏は助言する。ただ経営者が闇雲にISOを取得することだけに走ってはならない。プライドのためのキック・オフなら、必ず後梅する。なぜなら、ISOは、商品を品評会に出展することではない。商品を造るまでの工程や過程を記録にとどめて、社会の信用と信頼を得ることにある。ISOの取得によって経営者の“独りよがり”でない経営が産まれることに最大のメリットがあるからだ。あなたにとって、会社にとって“今が句”なら、今こそ「キック・オフ!」をなさい。(1999.9)