いまどきの世相

選挙は面白くなくては・・

   星 一男
元 福島民報社専務取締役 郡山総支社長


 〃21世紀の日本の方向を決める〃と騒がれた第42回総選挙が終わった。自民・公明・保守の3党連立政権は維持できたから「与党の勝利」ということになるのだが、毎日新聞は「自民敗北、民主伸びる」の大見出しだった。マスコミの使命は公平・中立の立場で、時の権力の重要な監視役となり、時には偏向を正すことにあるのだから、自・公・保政権に歯向かうのは当然だが、しばしば権力者に対してはバッシングしても、野党勢力の政党には、かなりくだらない政策を掲げても、あまり叱らないように見える時がある。マイノリティ{少数意見)ばかり大きく取り上げて、マジョリティ(多数意見)はないがしろにすることも平気なようだ。

 さて、その総選挙の余波だが、福島市議会が「中選挙区に戻して」という意見書を多数で可決した、というニユースが面白い。毎目新聞によると、衆院選を小選挙区比例代表並立制から、昔の中選挙区制に戻すよう求める意見書で、近く森首相や自治大臣に提出するそうな。全国でもあまり例がないという。衆院選が今の小選挙区比例代表並立制になってから、平成8年10月と今年6月の2回、選挙をやったが、その感想は、〃いまいち面白くない〃である。「選挙を面白いとか面白くない、などと言うのは不謹慎」といった石部金吉さんの苦言が聞こえてきそうだが、ならば今回選挙の投票率をみたらどうか。今回は〃21世紀うんぬん・もあって、かなり関心は高い、と言われNHK解説委員も「うちの世論調査では69%が必ず投票する、と答えている。前回より10%前後は上がりますよ」と断言した。

 ふたを開けでみたら62・5%。過去最低だった前回の59・6%よりは上回ったがその次、という過去2番目に低い体たらくである。いかなNHKでも読めながったらしい。この低投票率は、なんのかんのと言ったって、関心が無いからだろう。関心が無いのは選挙が面白くないがらだ。この三段論法、如何かな。小選挙区制は定員が1人。一騎打ちだから民意がハッキリ示される、という考え方から決められている。2大政党による議会政治を目指したものだ。平成7、8年の政界浄化の嵐の末に生まれた新制度だったが、末だに各選挙区とも定員一人だ、と知らない有権者もみられる。

 一人しか当選しない、と聞いて関心を高める人より「それじやあ、あの人で決まりだ」と関心を失うケースが多いように思えてならない。複数人が当選するからこそ、支待者も増え、順番を争う戦いから「ビリでもいいから当選させよう」と下位陣営でも運動に熱がこもり、関心も益々高まってゆくような気がしている。こんな事は誰も言わないし私のヒガミかな、と思っていたら6月27日の毎日紙面である。福島市議会の場合は、1区で自民党の現職と直前まで総支部長だったのに一人区のため公認できず、離党しての出馬で争い、当選と次点になったケースからきている「中選挙区なら一人とも当選できたハズ」という発想である、うなずける。

 でも、こういう政党サイドの論理とは別に、有権者に強い関心を待たせるために定員3、4人の中選挙区の復活をもう一度、検討してみてはどうかな。年々、投票率は下がる一方だ。平成元録にまみれて、パプル崩壊と言いながら、一応の暮らしは出来ている。不信が一杯の政治なんか…。という年代に関心を持たせるには選挙を面白くさせるのが特効薬だ、としきりに思っている、あの頃、選挙制度審議会で今の制度を作った委員に一度聞いてみたいのだ。かつで80%台から悪くても75%台だった衆院選投票率が、新制度になった最初の選挙でいきなり59%台に落ち、今回もそのレペルにあるのを、どう考えますか」と。(2000.8)