'ただ'じゃない水の話


 夏を迎えて水をめぐるニュースが相次いだ。中でもUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)の水飲み器の一つに飲料水用ではなく工業用水が供給されていたとう話は「おやまあUSJともあろうところが一」とびっくりさせられた。しかも保健所が検査したところ、他の水飲み器では雑菌数が許容の2倍もあった、というニュースまで明るみに出た。ここは前に品質保持期限切れの食品を園内の飲食店で使っていたことも分かっており、ディズニー・ランドの向こうを張って人気を二分しているテーマパークにしては、とんだお粗末だった。結局すべての冷水機が使用禁止になってしまった。入園した客はどうするんだろう。やっぱりミネラルウォーターに頼るしかないことになる。水に対する日本人の価値観については、かってイザヤ・ペンダサンという人が「日本人は水と安全はただで手に入ると思っている」と書いて大きな話題になった。サウジアラビヤの王様が日本に来て雨に降られ「うちの国には石油はあるが雨は無い」とつぶやいたとか。確かに我が国では、つい最近まで裏山にゆけば清水が流れ、井戸水も豊富でおいしい飲み水には不足しなかった。清水で思い出したが、福島交通 飯坂線の電車に乗ると駅名に水に関係する名前が多いのに気づく。曽根田・岩代清水・泉・上松川・笹谷・桜水・花水坂と途中駅10のうち7駅を数える。このあたりの豊富な水源に由来するのだろう。それが今や、ちょっと喉を潤すためにミネラル・ウォーターを買う、という光景が当たり前になってしまった。これは水の汚染や水道水を直かに飲むことへの不安の裏返しなのだろう。つまり、健康指向からバイ菌を極端に排除する潔癖症がそうさせるように思われる。一方では健康食品ブームに乗って大手飲料メーカーが‘ただの’水をここを先途と売り込みにかかっている。‘ただの’水と言っても、いわゆるミネラルが含まれていて採取される地域によって味が違う、という。でも昭和ヒトケタ族にはどうしても水のボトルを買う気にはなれないのだ。逆にいえば、いい時代を生きて来たんだ、と言えよう。昔、ブラジルに行ったとき食事で必ずビールとともにレッテルを貼った透明なビンが出た。アグア(水)で、なんとビールと同じ値段だったのにびっくりした。ブラジルや中国では生水は硬水のため下痢するからなんで、それを考えたら日本で水を買って飲むなんて・・・ひ弱すぎるんじゃないの?
                                (2002.8.10)