東海地震対策の意外な一面



 阪神淡路大震災に見るまでもなく、地震は恐ろしいものだ。日本がいま抱えている自然災害対策として最も大きいものは東海大地震対策であろう。昭和53年(1978年)に大がかりな対策が立てられ、今年になってその範囲が静岡県から愛知県・三重県の一部にまで拡大された。何故、東海だけなのか、については最も危険な地域と科学的に診断されているためで、学問的な予知対策も進んでいる。でも、われわれ福島県民にとってはいまいち身近に感じられないのだ。遠い東海に震災があっても東北までは及ぶまい、とたかを括っているところがあるからだ。

 ところが新聞、雑誌を”斜め読み”していたら「大変なことだ」と思わずにいられない情報にぶつかった。大規模地震対策特別 措置法というのがあって「地震が切迫している」と判断されると、まず判定会が招集される。その時点で指定地区に他の地区から流入する交通 は抑止される。また、域内から全てを安全な場所に避難させカラッポにする。つまり警戒宣言に備えるのだが、そのまま警戒宣言が発令されると交通 は完全に遮断される。交通途絶である。ここで問題が2つ出てくる。
 1つは片田舎ならいざ知らず、交通途絶する地域が東海道ベルト地帯という、日本の大動脈である点だ。日本経済が麻痺状態になるのだ。地面 は揺れなくても経済の破壊は東北にも九州にも全国的に波及し、不景気は恐慌と結びかねない。もう1つは、偶然でもいいから予測どおり地震が起きれば、その時点で警戒宣言は解除され交通 遮断は解消する。でも何日待っても大地震が発生しなかったら・・・。1日経つことに不安は増大し、可能性も増す。こうして1週間、1カ月、1年と経った時、警戒宣言はどうしたらよいのか。この間、日本経済は麻痺したままなのである。宣言を解除した途端に震災勃発、なんてなったら、それこそ大暴動だって否定出来まい。

 人心を惑わし経済をダメにした責任は誰がとるのか。総理大臣か役人か、法案を通 すした国会議員か、はたまた地震学者か、あおったマスコミか。天災に備えたハズが人災をもたらした罪は大きかろう。警戒宣言がもたらす経済的被害は地震被害よりも大きいかも知れない。しかも最大の問題点は、この危うさを誰も指摘していないことなのだ。それは”お上”がやっている東海大地震対策だからという世論の中で、これを疑うなどという視点が全く無いことに起因する。(2002.10.25)