広告収入減に苦しむ新聞界



 話というものは最後までキチンと聞いてみないと分からないケースがちょくちょくある。今回は新聞界に目を向けて、あれこれ‘聞き耳’を立ててみた。9月ころ、つまり上半期の話だが、新聞社の経営を支える広告収入が激減して広告局では四苦八苦した。あの日本中を熱狂させたサッカー・ワールドカップやソルトレーク五輪があったというのに、である。電通のまとめによると、前年同期比で新聞が4.4%,雑誌が8%の減だったそうな。しかもこの数字は広告掲載段数のことで、各紙ともダンピングしているから金額での落ち込みはもっと厳しいだろうという。理由は言わずと知れた不況の二文字である。

 で、新聞社の広告担当が漏らした“不謹慎な”お話一一「牛肉偽装事件や無認可の添加物を使った事件が起きると、我々は陰でニヤリとして一息いれるんです」。頭を下げっぱなしの会社側は、料金などお構いなしでお詫び広告をほとんどの新聞に掲載する。いつぞやは社会面がお詫び広告だらけの紙面があった。これは臨時ものだから、正規の値段が付けられる。新聞社にとっては‘偽装サマサマ’で、いわゆる「干天の慈雨」となるのである。

 下半期の話もやっぱり同じ。年の瀬を控えても不景気の風は強まるばかりで年賀広告集めに東京紙も地方紙も10月ころから早々とスポンサー回りを始めたくらいだが、その中で特に「新年はひどいことになるぞ」と噂の的になっているのが専門紙、特に工業新聞だという。広告激減に加え、業界での存在感が薄れつつあった“体力の衰弱”つまり発行部数の減少がモロに出てしまっているのだ。このインターネットの時代に工業界は活字媒体よりもITを頼りにしはじめたのだろう。老舗の日刊工業新聞が11月にメーンバンクから幹部を受け入れた。新聞業界では石油危機以来の“事件”だという。産経新聞系列の日本工業新聞も同様で「3月に最終決断が出される」という噂で持ちきりだ。
 そして日本経済のシンボル日本経済新聞も例外でないという。なんで?と語る向きも多かろうが、理由はIT革命。なんと日経の独断場だった企業の決算公告が法改正でホームページ掲載でもOKとなったのが大打撃になっている、というのだ。これで広告収入が大激減。系列の日本産業新聞も部数減が続いている。lT革命が専門紙にこんな形で影響しているなんて、ホントに話は最後まで聞いてみないと分からないもんだネ。