医療界は今年が"関ガ原"



 今回は医療界の現状について“斜め読み聞きかじり”して頭に残ったことを取り上げてみたい。私は医師ではないから病気のことは別にして、いま医療界では「2003年8月が関ガ原だ」と言われている。天下分け目の時だ、というのだ。数年前から厚生労働省は医療制度の改革にヤッキとなっている。それに駆り立てている理由は国民医療費の激増だ。
 平成12年に全国民が一年間に医療のため使ったお金が30兆円を超えた。一年に1兆円ずつ増えている。政府は高齢者医療費が増えたからだと言うが、問題は健康保険の赤字なのだ。日本が国民皆保険という‘楽園’になったのは昭和36年だった。初めは医療費はすべて保険で支払ってくれるから個入負担は無く医療は“ただ”だった。健康保険には3種類がある。「組合健保」「政府管掌健保」「国民健保」である。高度経済成長を続けて暮らしに余裕が出るにつれて、病院にかかる人が増え医療費はグングン増えた。これに応じて政府管掌健保はじめ、どの健保も赤字になり始めた。健康保険はいわば相互扶助の制度だから、みんなが一斉に医者にかかれば月々の健康保険料だけでは間に合わなくなる道理だ。赤字が出れば政府管掌健保では政府がその赤字を穴埋めしなければならない。

 そこで昭和59年になって健康保険料の他に医者にかかるたびに医療費の1割を自己負担する制度に改革された。それが平成9年には2割になり、15年4月からは3割となる。こうした医療を受ける側から徴収する一方、政府は診療報酬をもらう医者の方にも厳しくしてきた。平成14年4月から診療報酬を2・7%引き下げた。同じ医療をやっても、それだけ収入が減るのだ。これは平均の話で、病院が利益の元にしてきたMRI(超電導核磁気共鳴装置)やリハビリなどは3割も安くするなど細かく改定を実施した。
 そして今年8月に全国の病院を急性期病院か、慢性の長期療養病棟かのどちらかに色分けするという。勿論、病院の申請に基づいての話ではあるが、それによって診療報酬が違ってくるのだ。とっさに命を救う急性期が高いに決まっている。でも急性期病院を維持するには医師、看護師、機械設備、そして高度な医療技術の蓄積が必要だ。泣く泣く慢性期病院を選ばざるを得ない病院に明るい未来があるのか。厚労省の心底には“それで病院がつぶれてゆくなら、それも致し方ない”という考えが見え隠れする。この辺が「今年8月が関ガ原」といわれる所以なのだ。医療は新時代に突入する。
                                (2003.2.5)