リストラに180度転換の"風"


 このところ、各種マスコミのニュースや情報資料を“斜め読み”していて気付いたことは「世界も国内も“風”の流れが変化しつつある」ということだ。何がどのように?と開き直られると返答に窮するのだが、先にこの欄で取り上げた「右肩上がりを夢見よう」で書いたように、企業経営者がバカの一つ覚えのようにやってきた「経営が悪化=リストラ」の図式が見直されてきた。

 雑誌「ウェッジ」の7月号では「リストラ経営の信奉者よ、強い米国企業は社員重視だ」という原稿が載っている。内容をかいつまんでみると一。アメリカ企業で“リストラ神話”ヘの疑問が高まり、安易なリストラに走らずに従業員との関係を重視する姿勢が強まっている。なのに日本ではリストラの嵐がいぜん吹き止まない。大体、日本ではリストラは「事業の再構築」という本来の意味ではなく、単なる「人減らし」になっている。アメリカ企業の経営手法を「容赦ないリストラや、能力優先の激しい競争主義の一辺倒」というイメージで捉えてはいけない。今の米国の強い企業には‘人’を重視する「かっての日本型経営」が息づいているのだ一、といった論調である。

  年功序列、終身雇用が日本型企業だった。これで外国に打ち勝つ手段の高度技術が保たれ、伝え、発展させてきた。つまり社員は何時でも交換できる“ヒューマン・リソース”ではなく資金や設備と同じ“ヒューマン・キャピタル”だったのだ。それを浅はかな、薄っぺらな経営感覚の経営トップが「アメリカが、リストラで」と米国に安易に右ならえして、この方がラクなもんだからこの10年、日本の主流になってしまったのだ。ところが、そのお手本のアメリカが大きくカーブを切り180度転換しようとしている。日本が忘れた「日本型経営」を米国が取り戻そうとしているのだ。これをどう見ますか、日本の社長さん方。

 話は変わるが、いま農家のお母さん方が元気だネ。福島市内でも、「愛菜会館」なんていう野菜の直売所が人気を博しているが、国内ではもっと大規模な法人組織によるオッカチャン企業が成功している。単に“スローフード”の流れ、とばかり言えない“風"の流れの転換を感じるのだ。そろそろスーパーの画一的な商品、特に規格一辺倒の野菜に飽き足らなくなった消費者の好みが母さん手作りの野菜に目を向けさせているのだ。別な意味での”おふくろの味’の風が吹き始めた、と見守りたい。(2003・6・26)