老害極まれり


 ジャイアンツの原辰徳監督が辞めた。「やっぱり」と「ついに、やったか」の思いが交錯した。この突然の辞任劇の元凶が渡辺恒雄オーナー(読売新聞社長)の9月18日の発言であることは論を待たないだろう。18日発言とは、オーナーが食事の帰りに記者団に囲まれて言った「19日からの阪神戦に3連敗したら話は別だ」のことだ。それに輪をかけたのが9月9日に就任したばかりの三山秀昭球団代表(前読売新聞政治部長)の中日戦での「何故あそこで」「どうしてあの選手を」といった監督の采配への批判の言葉だ。
 さらに三山代表は”虎の威を借りたキツネ”よろしく18日に「契約が残っていたら全部やるんですか。解任された中日の山田監督はどうでしたか」とまで発言しているのだ。いずれも読売の政治部を背負って活躍した人物ではあろうが、政治と野球は違う。なのに権力を背負った門外漢が高度な作戦にまで口を出したら、スポーツの世界に勝負師で生きる人間にとっては最大の侮辱であり、受け入れたら屈辱だ。そんなことも分からないで、酒に酔って出まかせに好き勝手なことを言う。これが老害にあらずして、なんというのか。以前にもこの欄で指摘したことがあったが”渡辺老害”はもう沢山。そろそろ、身を引いてもらいたいものだ。

 特に許せないのは、記者会見で渡辺オーナーは「これは読売グループ内の人事異動だ」と言っていることだ。大体、2、3年前からジャイアンツのビジター用ユニフォームの胸のマークをTOKYOからYOMIURIに変えたのがおかしい。アメリカ大リーグではほとんどがビジターは球団所在地の都市の名をつけている。なんでYOMIURIにしなければならないのか。圧倒的なファンがいるTOKYOで何故いけないのか。その底には「巨人軍は読売のもの。こんなに人気があるんだから、これを新聞の部数拡大に使わぬ手はない」という私物化した考えが潜んでいる。
 そして、原辞任がグループの人事異動だって?思い上がっちゃいけないよ。ファンあってのプロ野球だろう。グループ内の人事異動だ、と言われた勝負師がどういう思いをし、どういう行動に出るか。単なる人事異動で敬愛する原監督を奪われたファンは一体どうすればいいのか。そこまで考え相手を慮っての発言なのだろうか。

 天下の公器たる新聞界の最高位にいて、日本新聞協会長まで務めた人物にしてはハメをはずし過ぎていないだろうか。星野阪神監督の「まさか!2年でどうやって結果を出せと言うんだ。なんで辞める監督の脇に次の監督がいるんだ」だけがやけに小気味よかった。(2003・9・27)