意外に低い常識力


 平成16年を迎えた。テレビ、新聞は自衛隊のイラク派遣のニュースで夜も日も一色だが、大晦日の紅白歌合戦はNHKのしゃかりきぶりに反して凋落気味だった。テツ&とも、はなわなんてものまで出演させながら、NHKが育てたと言ってもいい島津亜矢という演歌の新星を落としたりしていては、視聴率も下がるのは“当たり前だのクラッカー”である。NHKは国民の教養増進のための公共放送で有り続けるべきなのに、なんで民間放送のバカ騒ぎの方に近づいてゆくのか、がどうも分からない。「プロジェクトX一挑戦者」とか「その時歴史は動いた」なんていう素晴らしい番組の放送に徹すべきなのに、視聴率にこだわって若者向け紅白を作った。高齢者で演歌が好きだから言うのではない。 NHKこそ視聴率亡者の第一人者だろう。

 さて、本題に入ろう。正月のテレビで変な意味で注目したのが1月3日夜の「平成教育委員会」だった。たけしの司会で、出演者に若いタレントから政治家や評論家まで網羅した20人ほどで、主に有名中学の入試間題などを解答させる番組である。難解な出題もあり年寄りから子どもまで楽しめる。高齢者の“昔とった杵づか”で正解して家族をうならせたりも出来る。今回は自民党若手論客の山本一太代議士や民主党からも出演していたが、ある設問の解答をみて唖然とした。その第一。「タマゴの断面図を書け」という問題で4分の3が出来なかったのだ。あれっ、と不思議な気分にさえなってしまった。こんなこと、子供時代からの常識。気室は太い方にあり黄身はからざで支えられ、もちろん黄身は白身の真ん中に浮かんでいる。だが山本代議士も分からなかった。

 そして、その第二。「東京電力のOOOOOが一時、全てやれない状態になった」の○を埋めよ、という設問である。タレント連中は「野球部が休止」とか「強い営業力」などと答えたのはご愛矯としても、山本代議士が「送電」と答えたのにはビックリした。「政治家が、春からのあの東電の原発事故隠しを知らなかったのか。これは笑い事では済まされないゾ」と怒りがこみ上げてきた。もちろん正解は「原子力発電」である。福島県民があんなに生命を心配し、都民は真夏の停電を危惧したというのに、それが国会議事堂の中まで届いていなかったのだ。自民党有数の論客がなんたる不見識。これほどの情報過多の世にあって、こんなに大事な情報が政治家の耳に入らない、その壁は何なのだ。そうか、これがいま流行の「バカの壁」なのか。(2004・1・7)