勇ましいだけでは進まない


 平成16年という年は一体、どんな月日をたどってゆくんだろうか。皆目見当が付かないが、ともあれ小泉政権だけは続くのだろう。そこでだ。小泉首相の表て看板の構造改革だが、3年目ともなると、さすがにゲップが出てくる。批判も次第に強まるが、それにも増して各界から鋭い意見が出てくるのだ。
 その最大の目玉商品である「道路公団の民営化」に限っても、いろんな意見や評論、一般庶民からの声といったものが山積しはじめた。先の衆院選で民主党が打ち出したマニフェストの「高速道の無料化」に対する反対意見として、元道路公団の織方弘道氏(有料道路研究センター代表)が極めて理論的に見解を述べている。その骨子は「有料道路は、自分が利用する道路の費用を自分が負担するのだから、きわめて合理的。高速道路を無料化すべき、と考えること自体、この認識を誤っているだけでなく、高速道路を利用しない人にも費用を負担させる、という二重の誤りを犯すことになる」ときわめて明解だ。
 無料化だけでなく「道路公団の民営化そのものに疑義あり」という評論を掲げた人もいる。評論家の雑賀孫市氏である。雑賀氏はまず自民党行革本部の意見として「高速道は独立していない。つまり、高速道は一般道を通らなければ乗ることも降りることも出来ない、いわば一般道に浮かぶ島のようなものだ。だから高速道だけを切り取って民間会社に売ることは許されない。道路は国民の共有の財産だからだ」という点を取りあげる。
「しかし、日本では国有鉄道はすべて民営化されたのに、なぜ道路はダメなのか」ヘの問いには「鉄道は線として完結している。空港は点である。ともに民営化に似合う。しかし道路は面であり網である。一部だけを切り取ることは出来ないのだ」という観点からの見方をする。このほか「民営化すれば利潤をあげなければならない。企業だから税金もかかり、株式配当もしなければならないからだ」という意見がある。これらに小泉さんはどう答えるんだろう。
 もっと進んだ意見では「民営化は永久有料化を意味する。何故なら、料金収入を無くせば、民営会社はつぶれるからだ」というのもある。公団が抱える負債は40兆円。収入は年2兆円。単純計算なら20年で負債は返せるのだが、道路建設をやっていたら、その先は判らない。とすると、いま大上段に振りかぶって道路公団改革をやっても同じことではないのか。ただ一つ、言えることは“勇ましいスローガンだけでは国政はすすまない"ということだ。(2004・1・14)