うさん臭い取材自粛要請


 このところの新聞はイラク、サマワといったカタカナ地名の活字で一色。テレピコマーシャルは“いいな、いいな(117−117)”のアリコ保険の一色。両方とも、さすがに鼻についてきた。ローカル紙の投書欄に「もう同じ保険の勧誘画面でうんざり。なんとかならないの?」という文章が載った。全く同感だ。あんなに大量のテレビコマーシャルを流しては、一体どれぐらいの宣伝費を注ぎ込んでいるんだろう。「何十億、いや百億円単位かな。その宣伝費が保険の儲けから出されるとすると、なんかウラがありそうだ」と考えると、だんだん不愉快になってくる。ヘソ曲がり的に言えば「まだまだ加入者が少ないから、あんなに宣伝するんだろう。旨い話にはウラがある。きっと落とし穴があるからだろう」という見方も出来るのだ。

 と、突き放してばかりはいられない。アリコは置くとして、サマワの自衛隊派遣の話だ。いま、現地では自衛隊活動の報道をめぐって防衛庁とマスコミの間がギクシャクしはじめているのだ。現地到着していらい、自衛隊側から取材に必要な情報提供がほとんど無い。このため宿営地の前にはマスコミが大勢集結して混乱が続いている、という。防衛庁=自衛隊は治安維持の面から行動の予定を明らかにしない。情報が漏れてテロリストに待ち伏せをかけられないように、との配慮からだ。現地での取材自粛要請まで出た。意味は分かる。(写真=福島民報1月17日付)

 ところがマスコミ側からずれば、現地に駐在しても何の取材も出来ないんでは本社から叱られるばかり。だから必死に食い下がる。その結果、自衛隊先遣隊の車両が動き出すと、40台ものマスコミ車がカーチェイスよろしくサマワ市内で追いかけっこが始まるという。やむなく日本新聞協会と民放連は「適切な取材対応」を求めて政府に申し入れた。だが、政府・防衛庁の対応はハッキリ見えてこない。
 まさか、第二次大戦のころの報道規制や言論統制が再現するなんてことは考えたくないが、黙って放っておくと防衛庁の規制は次第に厳しくなって行くような気がしてならない。先のイラク戦争でアメリカがとった「エンベット(埋め込み)」従軍報道方式は、明らかにメディア操作を行うためだった。従軍記者が兵士と寝食を共にして“身内意識”を芽生えさせ、全くの米軍の目で戦争を見させ、それを報道させた。少なくとも純粋な客観報道ではなかったのだ。これを防衛庁も取り入れたら・・、国民を騙し続けたあの大本営発表に繋がらないか、という懸念が疼いている。(2004・2・1)