これでいい?食料自給率40%


  「医食同源」という言葉がある。病気の治療も普段の食事も、ともに人間のいのちを養い健康を維持するためのもので、同じ源である、という中国での古くからの考え方だ。その日常の食事を担当している主婦たちがいま、途方に暮れる場面が多くなった。アメリカでのBSE騒ぎで牛肉の供給が減り、値が上がった。吉野屋などの牛丼店で安い牛丼を提供出来ず、苦肉の策で代替メニュ一に焼き鳥丼を売り出したら、今度は鳥インフルエンザで何百万羽のニワトリが処分されて輸入トリ肉が来なくなった。経営者はまさにピンチだ。それにも増して、毎日足を運ぶスーパーや食料品店で、主婦たちは「一体、何を食べさせたらいいの?」と金切り声を上げはじめている。牛肉がダメ、鶏肉がダメ、タマゴもダメ、魚も鯉がダメ、で選択肢が急に少なくなった。これらは全て輸入品である。国内産は大丈夫なんだが値が高いし、当然値上がりもする。

 そこで、改めて日本という国の食料自給率について考えさせられた。調べてみたら自給率はなんと40%なのである。日本国内で食べられている食料の60%が外国からの輸入に頼っている、というのだ。細かくみると、みそ・醤油・納豆・豆腐など日本人の食卓に絶対欠かせない食品の原料となる食用大豆はたった5%しか国内生産されていない。植物油が2%、ビール原料は6%、小麦が13%といった具合。寄せ鍋の野菜は大半が国産としても、タラなど魚介類は57%しかなく、43%は海外から運ばれている。それも空輸がほとんどだ。“成田漁港”の名のゆえんである。ワカメでも64%だ。

 1960年代、さる新聞社の編集局長に「工場立地で土地が足りないと言うなら、農地を全て工業団地にして食料は外国から買えばいい」などとうそぶいて先見の明があるフリをしていたご仁がいた。当時、高度経済成長の風潮の中ではそんなに唐突な話ではなかったのである。その60年代から日本の食生活が様変わりしたのだ、という。国内で高い工業製品を作って輪出し、海外の安い食料を輸入するパターンがハッキリしてきた年代だ。2月1日(日)朝のTBS「サンデーモーニング」でもこれを取り上げていて「これは、アメリカが自分の都合で日本人の食生活を変えたのだ」という解説があった。日本を米国産農産物の最大の顧客にする戦略だった、という。戦後に子供たちを栄養失調から守った米軍放出食料による学校給食が、欧米流食事化の原点だったのだとか。‘世界を食べる日本’は、一体これから何処へ行こうとしているのか。(2004・2・2)