田中知事に信毎が噛みつく


 月刊誌「選択」2月号を“斜め読み”していたら「おや」と気付いたことがあった。福島民報という地方紙に長くいたせいで、全国の地方紙の動向にはどうしても目が向く。で、2月号では地方紙など3つの新聞社の話題が取り上げられていた。この「選択」自体、東京紙のOBが創刊し、いまは「印刷業界での20世紀の奇跡」と言われている成功例なのだ。それだけに最終ぺ一ジに「マスコミ業界ばなし」というコーナーもあって興味深い。
 その話題の第一は「田中知事を追い詰める信濃毎日新聞。次の一撃に長野県政界が注目」という一文だ。内容は、知事の旅費不正受給疑惑キャンペーンである。田中知事が出張した際、公用のついでにラジオ番組などに出演し大阪市から帰ったのに、提出してある旅行命令票では東京から帰ったことになっている。しかもラジオ局から大阪一東京間の航空運賃も貰っている、といったことを取り上げ責任追及しているのだ。なかなか面白い所に信毎が目を付けたものだ。これまでに49件もの奇怪しな事例があったという。
 意表を突いた発言や行動の作家知事だけに人気もあり、あちこちから引っ張りダコなのはわかるが、もはや自由業である作家時代とは違うのだ。公費で出掛けて行ってマスコミでしやべってギャラを貰って「知事でござい」、はないだろう。さすがの田中知事も「誤りがあれば処置したい」と二重取り分を県に返す意向を表明したが、返せばいいという問題ではなかろう。それなら、盗んでも後で返しておけば窃盗にならない、という理屈になる。上に立つ知事としての責任間題になるべき事例ではないか。長野県内の有志が県監査委員に住民監査を請求したという。こんなケース、よもや福島県には無いんだろうね。

 もう一つの話題は滋賀県である。全国広しといえども、地元紙つまり県民紙が全く無かったのが、この滋賀県である。歴史、経過は調べないとわからないが、恐らく隣県の京都文化圏に入って京都新聞や名古屋の中日新聞、金沢の北国新聞の草刈り場だったのだろう。そこに、21世紀になって「県民紙を作ろう」運動が起き、地元経済人が株式会社「みんなで作る新聞社」を昨年9月に設立、2005年春に新聞を発刊することになった。その題字が「みんなの滋賀新聞」と決まったという。この動きに、いち早く読売新聞が4ページの別刷を作って自紙に折り込むなど妨害をやる“えげつなさ"を見せたが、なにはともあれ、20万部を目指す新県民紙に工一ルを贈りたい。(2004・2・20)