市民〔citizen〕と結ぶネットマガジン!
建設メディア「MEDIA」
Home >斜め読み聞きかじり >2005/3/25

「情報」が両刃の剣になる

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏
 個人のプライベートな情報が知らない間に外部に漏れて悪用されたり、売買されたりする事態から守ろう、という「個人情報保護法」が4月からスタートした。特に個人情報が多い医療機関などでは、その対策に大わらわだ。患者の病状など漏れたら、どんな悪質商法に使われるか分かったものではない。下手をすると生命に関わってしまいかねない。
 筆者も目下、小さいことだが間違った個人情報で被害を受けている。月に何べんか「裕絵さん、居ますか」と若い男から自宅に電話がかかるのだ。しかも相手はいろいろ。電話している場所もバーのような雑音が入っていたり、車内のようだったりする。勿論、うちにそんな若い娘がいる訳もなく「裕絵などという若い娘はいません」と断るのだが、一度は「そんな訳ネェだろう!隠してるのは分かってんだ」と凄まれたことがある。呉服店からは毎年、裕絵名で成人式用和服のダイレクトメールが届く。まっとうな事務をやっているなら、同じ名前の娘が毎年、成人式を迎えるわけがないと気付くハズだが、未だに直っていない。どっちもガセネタの個人情報を買わされたんだろう。

 この情報漏洩問題はIT革命で顧客管理などを全てコンピュータ任せにする現代社会の新しい問題だ、と思う向きが多かろうが、実は2500年も前からあったのだ。かの孫子が「漏洩した間諜(間諜=スパイ)の本人だけでなく、その情報を知った者は全て殺してしまえ」と教えているだ。昔からの厳しい掟だった。この古代の間諜が現代では営業担当者だとすると、営業活動で得た情報は諜報活動で手にした極秘情報ということになる。その情報を漏洩したり漏洩を知りながら見て見ぬふりをする人間は絶対に許すな、厳罰に処せという掟があったのだ。つまり今回、法律が出来たから個人情報の取り扱いが厳しくなったのではなく、法律の有無にかかわらず他人の情報を簡単に減らしたり、売って金にしたりすること自体が罰せられる対象だったのである。

 で、今度の個人情報保護法の厳しさは単なる罰則だけではなく、法廷での損害賠償の大きさにある。京都府宇治市での住民基本台帳データ流出では、住民の訴えで裁判になり判決が出た。漏洩された市民1人当たり1万5千円の賠償だ。市民1万人なら1億5干万円、10万人なら15億円の賠償となる。漏洩の規模によっては賠償のため企業が吹っ飛びかねないのだ。情報は利益という果実を生むが、同時に会社を潰す“両刃の剣”であることを強く認識したい。(05.3.25)


Copyright (C) Medianetplan Co.,Ltd. All Rights Reserved.
このサイトに記載された記事及び画像の無断転載を禁じます。