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Home >斜め読み聞きかじり >2006/1/17

民営化は葵の印寵か

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 今度の建築業界での不祥事、「耐震強度偽装事件」では悪徳業者の構図解明と同時に、もう一つの論点が浮かび上がっている。それは「民営化は本当に錦の御旗、葵の印寵なのか」ということだ。
 小泉首相の日本構造改革は難攻不落に見えた敵の出城「日本道路公団」をなんとか攻め落としたあと、本丸郵政城を攻めはじめたが、味方の軍勢の中に謀叛や反乱があって、たたらを踏んでしまった。「こんなことなら、わが軍勢は解散」とやって、9・11信任決戦で侍たちの血判状を取り直し、民衆の声を聞く挙に出た。それがなんと“小泉殿様を全面支持する”の声で埋まったのだ。かくて9・11大勝利の余勢を駆って“それっ、攻めろ”と再び本丸である郵政民営化を総攻撃・・・と言うも愚か、アッと言う間に郵政城が落城、民営化が実現した。小泉将軍はさらに手網を緩めず、政府系金融機関8つの一本化、そして国家公務員減らし、国債30兆円実現、と進軍はまだまだ続く。こうした小泉改革の芯にあるのは“なんでも民営化”である。

 「民間で出来るものを、なんで役所でやる必要があるんですか?」の演説を随分と聞かされた。その通りかも知れない、と国民も頷く。でも、前から“総論賛成、各論反対”の要素がこの論理展開にひそんでいるのだ。役所仕事を民間に任せる⇒民営会社がスタート⇒役所から天下り⇒役所と変わらぬ業務で、役人の第二の人生の場だけ増える、のルートを辿る。こんな構図を道路公団でいやと言うほど見せつけられてきた。そして今、耐震強度偽装を見抜けなかった民間検査機関「イーホームズ」「日本ERI」など、建築確認の民営化会社で問題点が浮かび上がってきているのだ。これらの会社にも多数の天下りがあったことは、既に報道されている。この辺に“第三のお役所仕事"が潜在している、と見るのは間違いだろうか。
 2005牛8月に起きた震度6弱の宮城県沖地震で、仙台市泉区の「スポパーク松森」の天井崩落事故が発生したことはまだ記憶に新しい。PFI事業で仙台市が民間の力を活用して建設したものだ。PFI事業そのものは民間のノウハウを使って建設し、運営も任せて効率化できるメリットがある。ただ、この地震では耐震確認が行われていなかった。震災対策が抜けていたのである。しかも仙台市は抜けていたのを盾に「市に耐震確認の義務は無い」として業者まかせ=民間丸投げの態度に終始した。民営化の言葉は聞こえはいいが“丸投げ”になっては頂けない。“何でも民営化”の是非を問う時期かもしれない。(2006・1・12)


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