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新聞界にまた難題か

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 小泉改革で船出した郵政民営化は先日、日本郵政会社が発足していよいよ具体化しはじめた。平成19年10月の完全民営化に向けた準備で、日本郵政会社は郵便会社、郵便局会社、貯金会社、保険会社の持ち株会社として政府が設立した会社である。現在の郵政公社員26万人のトップに立つ会社で、その初代社長には西川善文前三井住友銀行頭取が就任した。
 なんせ、巨額の預貯金を持つ郵貯、簡保、そして全国に細かいネットを持つ郵便事業と郵便局の4つの民間会社を束ねるのだから並大抵の権力ではない。4つの会社にどのように公社員を割り振り、どのような商売を展開するのか、が見物だが、早くも恐れをなす声が出始めている業界がある。新聞業界だ。なんと新聞配達に郵便事業会社が手を伸ばしてくる恐れが出てきたのだ。
 民営化後の新会社は公社時代の足かせから解放され、様々な新規事業に進出することが可能になる。逆に言えば、法人税の免除など郵政事業への様々な優遇措置が、公社による民間圧迫に繋がっていたわけで、これを無くすのが民営化を目指した今回改革の狙いでもあったのだ。ところが日本電電公社がNTTになり、日本国有鉄道がJRになって既に20数年。日本の巨大企業の一翼を担って、民間会社として熾烈な競争を演じている。多大の犠牲者を出したJR西日本の福知山線脱線事故は私鉄との激しい乗客獲得競争の果てに起きた。
 第3の巨大会社がスタートすると、その巨大さ故に相当な収益基盤を造らなければ独り立ち出来ない。そこで、郵便物以外にも運べるものは何でも配達する事業が展開されるのは容易に想像出来る。“郵便は郵便局”の概念を見事に払拭させて成功したクロネコヤマトに巻き返しを図ることも出来る。熾烈な競争が展開されよう。その果てに見えてくるのが、旧態依然の組織に寵もったままの新聞配達の仕事だ。「うちの郵便配達のネットワークにお任せを」と僻地での配達が考えられるが、その手は次第に都心部にまで伸びてくることも容易に想像される。「新聞がダメでも、チラシはスポンサーの意向次第ですから」と、ごっそり奪われるケースも出よう。新聞販売店のかなりの折り込み料がパ一になったら、悲鳴が上がるだろう。それでなくても、新聞業界は活字離れとケイタイiモードでのニュース読みで発行部数の減少傾向から抜け出せないでいる。この斜陽産業にまた火の粉が降りかかってきそうだ。さあ、新聞社はどうする、どうする?(2006・1・27)


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