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Home >斜め読み聞きかじり >2006/9/5

平成の大合併は終わったが一

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏
 昭和の2度にわたる市町村合併に続いた今回の「平成の大合併」が一段落した。それまで全国で3232あった市町村の数が1820に再編された。56%に減ったのである。新しく出来上がった自治体は558。太陽を回る惑星から冥王星がはずされ教科害会社などは大騒ぎだが、この市町村合併も大変だ。なにが大変かといって、生まれ変わった自治体の名称だけではさっぱり見当が付かなくなったことである。まず、第一はひらがなの市町村名がやたら増えたことだ。ひらがなの市名は福島県は早かった。昭和43年に“新産合併”で平を筆頭に内郷、常磐、磐城、勿来の5市と旧石城郡町村合わせ14が合併し「いわき市」を名乗った。この陰には互いに主導権を争った平と磐城(小名浜)が譲らず、県議会のあっせんで聖徳太子の教えの以和貴に基づいて「いわき」で決着したいきさつがある。当時ひらがな市名は全国でも珍しかった。それが今回の平成大合併ではやたらと増えた。北海道の「せたな町」から沖縄県の「うるま市」まで、ざっと40市町村に及んでいる。別にこれを責める訳ではないのだが、住所を探したり初めて訪れて地域の由緒を尋ねたりする際は、やはり漢字名でなければ無味乾燥もいいところだろう。歴史が消えた。

 第二は、おしなべて新しい名前に切り換えていることだ。それも公平を期すためか、連綿と続いた名前をあっさり捨てて無難な名前にしてしまう。これでは旧市町村がどうなったのか、がさっぱり分からなくなってしまった。因みに筆者の出身地である宮城県の市町村名は大抵覚えていたハズが、半分以上は見当がつかなくなってしまった。岩手県境に近い北部に合併が集中したが、粟原市、大崎市、登米市などは地名としては「栗駒山に因んだ」「大崎地方の名をとった」など大雑把には分かるが、どこの町村が加わったのかが分からない。南三陸町とか美里町という普通名詞に近い名もある。なにとなにが合併したの?といちいち尋ねなければならない。親戚も多い所は年賀状が大変だ。
 合併で受け皿を大きくして、窮乏する地方自治体の財政を再建させる、という高邁な目的は分かる。だが戦中派ならずとも、昔の姿がこの地上から忽然と消え去ったような感じすらしてしまうのだ。単にノスタルジアだけではない。男女共学で学校名を変えさせられた高校の同窓会以上に、歴史をたっぷり含んだ地名の消失を借しむのだ。これも世の流れと言うなら、しゃあない、1つ1つ記憶力の落ちた頭にたたき込むか。(2006・9・1)


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