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所詮、人間がダメじゃあ“猫に小判”

建設メディア顧問
マスコミ人OB会福島ペンクラブ会長
元福島民報専務・編集局長 星一男氏
星一男氏

 「ハード(硬い)」と「ソフト(柔らかい)」という用語がいまの社会に氾濫している。いわずと知れたコンピューター用語である。それぞれ「ウエア」が付くのだが、パソコンの機器そのものはハード、それを使うためのプログラムがソフト、というわけだ。そのハードが如何に立派でもソフトがからっきしダメなため、とんでもない事を仕出かすケースが起きた。千葉県野島崎沖でのイージス艦「あたご」と漁船の衝突事故である。海上自衛隊が世界に誇る最新鋭情報艦として、昨年3月に進水式を終え、ハワイ沖でミサイル発射実験をやって帰ってきた、その足で自分のトン数の1000分の1の小さなマグロ延縄漁船を真っ二つにしてしまったのである。同時に10の敵を相手に戦える、という全身が目みたいなコンピュータの塊が、目前の舟を避けることすら出来なかったのだ。どう考えても、その辺のことが呑み込めないのである。
 軍事専門家が注釈を述べるのを聞くと、どうやら自艦のごく近辺の物はよく見えないらしい。“灯台もと暗し”というヤツか。それでは、いま流行りの自爆テロが小舟で忍び寄って体当たりするのを防げない。そこで見張りが艦上に立って目で見るらしいのだが、2月19日午前4時ころはどうしていたのか。3ヵ月ぶりの帰国に浮かれたダメ自衛官が見過ごしたのではないのか。1400億円の凄いハードをダメな水兵が操っていた。まさに“猫に小判”だ。

 もう一つ、慄然とさせられたのは情報伝達ルートのひどさだ。事散発生の第一報が何故すぐ防衛大臣に届かないのか。たとえ、報告したことが結果的に軽微な事件に終わったとしても、まず第一報だろう。軽微に終われば、それはそれで喜ばしい結果なのだから。なのに、大臣が耳にしたのが1時間40分後、総理大臣には2時間後だった。その間「あたご」の中では何が行われていたのか。かって新聞記者時代、事件事故があったらまず第一報を上司に伝えるのが最大任務だった。そのため電話探しで苦労した記憶が鮮やかだ。ケイタイなど夢のまた夢だった時代だ。あの最新鋭情報艦の中で電話一つ掛けられなかったのか。少し”かんぐり”を働かせてみよう。見張り員が見落としの失態を誤魔化そうと躊躇して時間が遅れたのか。報告を受けた上司が「事の真相をもっと確かめよ」などと指示したまま、報告待ちで時間を空費したのか。艦長や幕僚長は責任が自己に無いよう内部で検討してから大臣へ、といった筋書きか。ここに自己保身を最優先させる「本末転倒」のダメ人間の姿が浮かび上がる。(2008・2・25)


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